「なあ。俺ゴムしてたよね?」

しつこく夫に確認されてイライラした。

 

「俺の子じゃない」とでも言うつもりか。

 

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お母さん「マー君、財布にゴム入れてるじゃん。あれ擦れて破れる事多いらしいよ」(←本当です)

 

お父さん「俺のせいだって言うのかよ💢お前だって排卵日なのに言わなかったじゃん」

 

 

私達は常にオギノ式(死語?)とコンドームと殺精子剤で三重の避妊をしていた。

 

排卵日は私が断る決まりになっていたのだが…なんか酔った勢いでウッカリしてしまったのだorz 確かに私の責任も大きい。

 

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私の妊娠が発覚してから、夫は私を避け始めた。

予定外の未確認生物(自分の子供)を宿した私を見たくなかったのだろう。

 

友人に話すと彼女は憤慨し

 

「サイテーじゃん!別れちゃいなよ」

 

という言葉が返って来たが、別れるも何も 私の身体は今、夫の子供を宿しているのだ。

 

「妊娠したので離婚します」

とか、聞いたことないしなぁ…ネガティブ

 

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「ご迷惑おかけします」

 

 

私は職場の人達に引き継ぎをし、ペコペコ謝って会社を辞めた。

残業多めのブラック会社、繁忙期は泊まり込みが当たり前。

 

それでも就職氷河期に拾ってくれた会社には恩も愛着もあった。

 

だが、この会社に居続けたら確実に流産する…

当時、中小企業では妊婦に対する配慮などなかった。

 

 

秘書課の先輩から

「チーフにして貰ったのに、幕張メッセの直前に辞めますってアナタ神経太いわねえ」

 

と言われ更に萎縮する。本当に申し訳ないえーん

 

頂いた花束💐とプレゼント🎁が重かった。

 

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だが、イベントの前だから辞めざるを得なかったのだ。

会社に泊まり込んで、冷たい床に雑魚寝なんかしてたら絶対に流産するもの…

 

そして

 

「私はお腹の赤ちゃんを守りたいのだな」

 

と私はこの時初めて自覚した。

だが、会社を辞めた数日後、私は更にこっぴどい目に遭うのだった。

 

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いつものように産婦人科に行くと、何か異様な空気だった。

「こんにちはー、よろしくお願いします」

といつも通りに挨拶して診察室に入ったが、お医者さんや看護師さん達の表情が固い。

 

状況を飲み込めないまま、医師と看護師6人にズラリと囲まれてしまった。

 

一体何事だろう?

 

いつもニコニコしている初老の医師は、無表情に言った。

 

「先日受けられた母体血清マーカー検査の結果なんですが」

 

母体…血清…そういえば何か検査受けたっけ。

なんか染色体異常が分かるとか言ってたような…

 

「検査の結果、ダウン症児が生まれる確率がかなり高いことが分かりまして」