今から二十数年以上前のことですが、私の合気道門下生が友達の柔道の現役(井上康生に負けてオリンピックには出られなかった)Y君を稽古場に連れてきました。いつもの通り両腕で私の腕をつかませたところ、筋骨隆々の彼に今まで感じたことのない圧力を感じたものの、いつものと同じ調子で軽く倒せると考えたのですが、「まずい、自分のパワーが自分に跳ね返り、腕が折れる」と思い別の立ち位置を変える合気方法で難を逃れました。合気道には試合がありませんが、私の技術では対応できなかったということです。どうして駄目だったのか試行錯誤、創意工夫の機会でもありました。私にとって絶対大丈夫は無いという素晴らしい経験でした。合気道の稽古は道場稽古、受けが取りに遠慮しがちの忖度稽古です。小さな女の人や非力な男の人が受けが忖度していることを気が付かないで達人になったと勘違いすることが多いのが合気道、無意識のうちに相手が倒れていたと自慢するのも、一般人には理解しにくい。道場生以外の人に技が効かないことに一生気が付かない人もいないわけではない、危険な場面に出くわすことなど日本にいればほとんど無い。たまには道場生でない人に抵抗されながら技をかけることも必要だと思います