知っているようで知らないのが自分の国のこと、日本文化や伝統など、外国人にやりこめられるようでは恥ずかしい。昨今、海外からの観光客や日本通の外国人が増えているのだからなおさらです。受験中心のつめこみ主義は日本文化の知識を得る機会をなくしています。鈴木大拙著の「禅と日本文化」などは外国人向けに書いたものを日本語に翻訳したところベストセラーになったのだから、外国人の方がよく解っているかも知れない。「わび、さび」について説明できる日本人が何人いるだろう、まして私は合気道をやっていますと言った後ではなおさら恥ずかしい。そこで、合気道の技だけでは日本の伝統芸の一部をかじったに過ぎないことに気がつく。日々季節を感じ、流儀を大切にしながらも芸術を外側でなく内側から感じ、生活に取り入れながら極めてきた日本人の感性、いつのまにか忘れていた美意識や暮らしの知恵を合気道を通じて取り戻してみたい。合気道を通じてそれに関連することを肉付けしていけば外国人の質問くらい答えられるようになるのではないだろうか。死ぬまでの間じっくり合気道と日本文化を探求する人生もまた面白い。