高崎出身の剣豪で寺田五郎右衛門宗有という人がいます。一刀流の中西道場に入門、竹刀剣道をきらい、平常無敵流に入門し印可をえたが、藩主の命令で中西道場に戻った。組立ちの研究のほかに、白隠禅師の遺著を熟読、小田切一雲、金子夢幻の残した教えを研究し、心身を磨いた、また白隠禅師の系統の東嶺和尚のもとで修行し、断食し、水を浴びる修行を続けた結果、突然開悟し、これを禅師に告げると感嘆して禅の印可を与え「貴殿の修行が天真に通じたのです」と言ったので一刀流天真道と名付けました。寺田宗有の悟りとは「剣法は、専ら人に勝つべきことをなす技だが、勝とう勝とうと思っていくものではない、ことにのぞんで、生死を明らめ行くのである。胸の中にわずかでも物があれば、形が生ずる。形が生ずれば敵が生ずる。敵が生じれば争いが生じる。争いが生ずれば心の霊明が失われる。一刀流の本旨は、この心の霊明を失わぬ真空阿字の一刀にある」「不動智神妙録」と同じ境地であり、自らの修行によって得た私の知る限り、最高の武道家だと尊敬しています。たまたま同じ高崎出身であることが不思議な縁です。

安中市の歴史