もし、あなたに部下が1000人いたとして、どれだけの人が、あなたが伝えていることを本当の意味で「わかっている」でしょうか。本当の意味で「わかる」ためには、頭でわかっているだけでは十分ではありません。完全に腑に落ちて、実行できるところまでもっていけることが、本当の「わかる」であって、そこまで「わかる」人は、1000人いても1人くらいではないでしょうか。私はよく「人に教えるときには千回言行」と言いますが、人にわかってもらおうと思ったら、1000回は言わないと伝わらないということです

ただ、実際には、1000回伝えているリーダーはほとんどいないでしょう。たいていは途中で放り出して、「こんな困ったやつは、もう辞めさせろ。言っても仕方がない」と諦めてしまう。本当は、1000回繰り返せば、絶対に伝わるのを途中でやめてしまっているのです。「1回言っただけでできる人」は天才であって、世の中にはそうそういるものではありません。秀才でも10回は言わないといけない。だから、1回しか言わないで、「なぜできないんだ!」と言うのは無理があるということです。

そして、大事なのは、1回目のときも、2回目のときも、1000回目のときも、初めて言ったように話すこと。聞いているほうは、「この話はもう100回目だ」と思って聞いていたとしても、言っているほうは、「今日は初めてだぞ、この話は」という気持ちで話さなければなりません。