古武道のこうした歩きは、現代剣道や空手などと比較した場合、機動力などの点で疑問を感じる人もいると思いますが、飛び跳ねるやり方は、整備された石ころも傾斜も無い道場やリングでの運足であって、現実である野外ではこんなことをしていたら、転倒か捻挫をしてしまう。戦時中に満州で剣の達人と言われる方がいて、馬賊と戦っていところを見たところ、姿勢はまっすぐで腰の上下運動も無く、歩きながら淡々と切っていたとのこと。実戦の闘いとはこういうものなのか。二天一流〔開祖宮本武蔵〕の兵法三十五か条に足踏みのこととして「足づかひ、時々により、大小遅速は有れども、常に歩むがごとし。足に嫌うこと、飛足、うき足、ふみゆする足、ぬく足、おくれ先立つ、足これみな嫌う足なり。足場いかなる難所なりとも、構え無き様にたしかに踏むべし」とあります。演武会での目の付け所は多々ありますが師範演武では、歩み、姿勢の安定、足幅、目付を注視することが良いと思います。