三つの先については本来初心者の時から知識として必要だと思う、経験から悟るのと、知識から学んで行くのとでは、上達が違ってくるからで、私の経験ではそう思う。この先(せん)と言う考え方は日本の武術から来ているが、人間を相手に戦うのであるから、表現の違いはあっても世界共通なのではないかと思う、1.後の先、2.先の先、3.先の三つの先に分けられる。合気道は基本的には後の先に属すると思われるが、これだけにこだわっていたら、やられてしまうから先の先も勿論できるように稽古しなければならない。「後の先とは相手の攻撃を待ち反撃することです。」武田惣角が相手を怒らすような言葉を発して、相手の心を誘導して自分のペースに導いた逸話が残っているが、それです。現代風に説明するとボクシングのカウンターが後の先と言えます。自分の体を打たせるようにすきをつくり打ってきたところに同時にパンチを繰り出す方法です。うまくいくとそれで試合は終了する。日本では陰流と陽流の二つの流派に大別できるが陰流が圧倒的に多いのは、実践に有効なのと陽流より一般のレベルの人に身に付けやすいからではないかと思う、陰流〔後の先が中心〕は柳生新陰流などで有名ですが、その理合として、皮を切らして肉を切れ、肉を切らして骨を切れ、骨を切らして命をとれと言う言葉が残っています。