合気道で技をかける場合、初心者でも有段者でも、梃子〔てこ〕の理論を知るべきです。合気道におけるテコの理論とは手首を掴まれた場合、掴まれた手首は脱力し動かすのは次の関節の肘だということです。掴まれた手首を支点にして次の関節の肘をまるく動かすと手首に意識がいかないので、自分は力で征した感覚がなく、しかも相手はくずれるのです。肘を動かすまでには、下半身、腰から上半身、肩、肘と力の伝達があって相手は崩れます。相手が非力であれば肘を動かすだけでも結構合気道らしく崩せるものです。ほとんどの人が、それで自分はできていると誤解しているようですが。とにかく、「相手との接触部分を力点にすると体が力んでなおかつ相手は動きませんし、動いたとしても「剛気道」で、合気道ではありません。ですから、相手との接触部分を支点にするのが、合気の全技法に共通することです。私は、剣道の指導を父から受けている時に閃いたことで、それは、剣を握る場合「右半身の場合では、左手が柄頭、右手が鍔の近くを握りますが、剣を正眼から上段に構えを変えるとき、右手を支点にして左手を力点とすると、重い刀も直ぐに上がります。」このことは、手を剣として稽古する合気道に応用できると気が付いたということです。