日本の美の感覚は「正方形」と「白銀比」(1対√2)に関係しています。 日本の建築は、丸太を正方形の角材に加工した材木が使われます。最もムダが少なく、梁の強度が大きくなる断面が、正方形の特徴です。その角材を使ってつくられる茶室には、多くの正方形が見られます。畳の配置、炉、座布団、ふすま、障子など、すべて静寂をつくり出すために選ばれた正方形です。正方形は、日本文化の象徴である茶室の様式美といえます。ムダを徹底的に排した形である正方形のなかで、合理的な茶道具の配置と所作がデザインされた世界。それが茶道だそうです。一方、45度は正方形に対角線を引くことで現れる角度です。正方形の1辺と対角線がなす角度が45度です。伝統芸能の1つである能は、その舞台が正方形であることが重要とされるそうです。能の主人公を演じるシテは、正方形の舞台上で常に対角線方向の動きを意識しているそうです。つまり、幽玄の世界である能では、45度の方向が意識されているということです。45度は芸事や運動においても絶対的な角度であると私は考えています。野球のホームランを打った角度は45度、大砲も45度が遠くに飛びます。体術(合気道)の私の極意も45度です。この魔法のような角度は宇宙の絶対法則だと私は考えています。興味のある方は里見道場で稽古をしてください。