右腕を前に押している状態


秘伝、秘訣の類は、武道、武術に限らず、多くのことに存在します。古武道では初伝、中伝、奥伝などと言う極意、秘伝へのプロセスが用意されていますが、宮本武蔵は実践の場においては、こうした序列は意味をなさないといっています。また能の「花伝書」には「我が家の秘事として、人に知らせぬをもて、生涯の主になる花とす。秘すれば花、秘せねば花なるべからず」それでは合気道の中の秘伝とはなにか、となると皆目検討がつかない、日本では秘伝は一子相伝が原則です。しかし大東流の武田惣角は秘伝と思われる朝顔の手による合気上げも教えていない、まして植芝盛平には合気について教えていないと本人が言っているのだからこれが秘伝の一つなのだろうと思う。大東流の佐川幸義先生も死ぬまで合気の本質「透明な力」の技術理論を説明しなかった〔ある時から自然にできるようになったので教え様が無いとの言〕。植芝合気道の言う氣は極言すると相手の動きを事前に察知するという霊感的なものであったと言えます。こうなると個人的な問題なのだから。本人も伝えるに伝えられない。合気道の氣の概念は日本人的観念世界の極まったところにあり武道の最高の境地です。我々修行者にとって、まだまだ未知の秘訣、理合いが合気道には存在するはずです。