
「地の理」とは競争原理に基づくエゴを基本にした社会です。資本主義がそうですが、生産物を分け合うはずの共産主義も結局は人間の「エゴ」の基に崩壊しました。「地の理」の時代の武術は自分だけが生き残るためのオンリーワンの技術です。ですから秘匿することで生き残る、そのため大切なことは教えません「一子相伝」という言葉はそれを伝えています。武道場の師範とて同じです。スポーツ化したものは武術に限らずオンリーワンになる為には秘匿しなければ良い結果を得ることはできません。以前中学の柔道部の生徒(女子)が私のところに入門した時に友達も連れて来てと言ったら、とんでもない、こんな凄い技を覚えられたら自分が不利になるという言葉が返ってきました(その後良い成績を残して大学まで柔道を続けていました)。それでは「天の理」とはなにかと言うと、地の理とは逆だと思えば良いと思います。天の理に基づく合気道は試合の無い武道であることを特徴としています。より「宇宙の法則」に近づくことを理想として精進します、その道を楽しみながら、互いに良いところを誉めあい、気になるところは気づかせてあげる。ですから秘密主義に対して開放主義であり、知っていることは全て開放し全ての人が共に進歩し理解するように稽古する和合の武道、愛の武道、共存共栄の武道であることが理想です。ただし、気づかないで間違いを指導している人、真実を教えたくない指導者がいるかは私には解りませんが。