
北風と太陽が彼らの力について言い争っていた。議論ばかりしていても仕方がないので、勝負をしようという話になった。最初の勝負は、旅人の帽子をとることだ。はじめに、太陽が旅人を照りつけると、旅人は日差しを避けようと帽子を深くかぶり、けっして脱ごうとはしなかった。今度は、北風が思いっきり強く、ビューと吹いた。すると、旅人の帽子は簡単に吹き飛んでしまった。次の勝負は、旅人の上着を脱がすことだ。はじめに、北風がありったけの力で、ビューッと吹きつけた。しかし、旅人はふるえあがって、着ものをしっかり両手で押さえるばかりだった。今度は、太陽が旅人を照らした。すると、旅人は上着を脱いで、気持ち良さそうにのびをした。状況に適した手段を選ぶ この話の教訓は、何事においてもそのつど適切な手段を選ぶことが肝要であるということ。旅人の帽子をとるには北風が適していた、上着を脱がせるには太陽が適していたということだ。要するに臨機応変の大切さを説いている。