あらゆる武術の究極的奥義である正中心、これを理論として公開した人物が肥田春充です。肥田式強健術といわれています。二十二年かけて思考錯誤の末「ドカッと…いまだかつて経験したことがない強大な力が、腹と腰との間からほとばしり出て、体の中を一瞬に突き抜けた」この瞬間をもって、春充は今までと違う性質の力を得たと言っています。この要領を簡単に説明すると「腰を反り、下腹を突き出し、脊椎を真っ直ぐに立てる。重心を両足の中央に落とす。上体の力を抜く。みぞおちを伸ばす」この姿勢を真に正しくとれば、腹腔内部に球状の緊張が自覚できる。その中心点〔正中心〕が両足の中央に垂直に落下するような位置関係を保ちつつ、呼吸に合わせて動作をおこせば、引き絞るような力が働いて下腹部を内側からドカッと叩く。これが中心力だということです。これが、武術、芸術、宗教の究極の奥義、秘伝中の秘伝です。合気道の稽古に同じ動きが多いと思います。合気道の体勢(体の構え)は重心(下半身がどっしりしていること)が大切です。演武会の師範演武を参考にするのも良いでしょう。どっしりしていない師範もいますが。