室町時代の禅問答の例として瓢鯰図というのがあります。「瓢鯰図」は、応永二十年(1413)頃、足利義持が絵師の如拙に命じて描かせたもので、男が瓢箪を使って、川を泳ぐ鯰をつかまえようとしているところが描かれています。絵の上の賛には、五山の長老たちが将軍義持の前で、この絵を題材にして記した詩や文章が記されています。この絵の意味するところについては、禅僧たちの賛の中に「瓢箪のような曲がってつるつるしたもので、くねくね動く鯰をとらえることができるのだろうか」というようなことが記されており、「できる」と記している僧もいれば、「できない」と記している僧もいることから、この絵は禅の公案を図像化したものではないかと考えられてきました。しかし私流に解釈すると中心を捕らえることならできます。鯰で瓢箪の中心をあわせるか瓢箪で鯰の中心を合わせるかどちらかです。合気道で中心をあわせるとは瓢箪が受けであったり鯰が受けであったりする訳ですがいずれにしろ取りは受けを捕らえなければなりません。水に浮いている瓢箪の中心を上から捕らえられれば瓢箪は沈みます。沈めれば中心を捕らえられたことになります。中心を捕らえたまま足元まで沈めて固定すれば捕まえたことになりますがバランスの悪い瓢箪はなかなか沈みません。人間にもそれが言えます。瓢箪型の池にナマズを入れる方法もいいのかも。