町の図書館に(郵便局の傍にあるので。ついでに)寄ってみたら、今野敏の新作本(のはず。少なくとも私は未読)があった。ので、その、二冊とも(『キンモクセイ』と『呪護』)借りてきて、そうして二冊とも読んでしまった。

『呪護』について。
これは、お祓い師(鬼龍光一)シリーズの四冊め。(らしい)
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なにしろ、
今野敏の小説はシリーズものが多い。
そして、改題して刊行されたりする。例えば、『特殊防諜班』(新人類戦線)シリーズ。これはややこしい。
初め、1986年に「新人類戦線 失われた十支族 禁断の系譜」(廣済堂ブルーブックス)という題名で発売され、1988年に文庫化された際には「新人類戦線 ユダヤ十支族の系譜」(天山文庫)となり、さらに、2002年に再文庫化された際には「ユダヤ十支族の系譜 封印の系譜」(学研M文庫)となっている、といった具合。
シリーズものでは。思いつくままに。
ST警視庁科学特捜班
内閣特命班
警視庁強行犯係 樋口顕
隠蔽捜査
TOKAGE
安曇警部補
任侠(学園、病院、出版、浴場)
孤拳伝
等々。
まさに、などなど、だ。

私が今野敏の小説にはまったのは、確か、
『神々の遺品』と、『海に消えた神々』だった、と思う。なので、初めは伝奇ものの作家の印象があった。ついで、格闘技系小説。(『武打星』『武士猿』『義珍の拳』『虎の道 龍の門』『惣角流浪』等々)。
『我が名はオズヌ』は、両方味わえる、と思う。
それから、警察ものだった。
とにかく、守備範囲が広いのだ。

さて、『呪護』。
これは、警察ものに入るだろう。けれども。
伝奇要素たっぷり。
そもそもは、神田明神の近くの私立高校でおきた殺傷事件から物語は始まる。
レイプされている(それは、法力を発現させるための儀式だったのだが)
と見た男子生徒が教師を咄嗟に刺してしまった、事件と思われて、少年係が捜査していくと、・・
そこにお祓い師がいて、なんでそうなったのか辺りの捜査で、天台宗系(台密)と真言宗系(東密)との戦いが出てきて、江戸を開くにあたり(天海上人は)風水と将門の怨念を利用していて、けれども、戊辰戦争を興した背後にいたグラバーのパシリ役だった龍馬がいて政権を分捕った薩長らが東京に新たな結界を作り上げ、そうして敗戦までの70年間戦争続き(誰が儲けてきたか)、今再び東京に争乱を引き起こそうとする者がいて、・・

こういった辺り、なかなかに面白いわけなのだった。