初めてのクロアゲハ | 愛犬アミ連載漫画

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後編『愛犬アミ、生まれ変わりの君に逢いたくて』好評発売中!

 初めてクロアゲハが羽化した。
今までキアゲハばかり飼育していて、なんとなく「アゲハの飼育は簡単」と分かったつもりでいたが、とんでもないことだった。

 とにかく幼虫がサナギになった途端に死んでいく。
クロアゲハで3個、ナミアゲハで5個。
キアゲハでは起こらなかったことだ。

アゲハは雌一頭が、一生で約200個の卵を産むそうだ。
その卵が蝶になる確率は0.6%、つまり1~2頭しか蝶になって空を飛べないという事だ。
雌雄一対で200個とすると、種の保存はギリギリ保たれるかどうか。

その少ない羽化率の原因は、あまりにも沢山いる天敵だ。

 まず人間。
アゲハの食草は人間の食べるセリ科や柑橘系なので、農家の人たちからすれば害虫だ。
そして、クモ、アシナガバチ、カメムシ、トカゲ、カマキリ、鳥、etc・・・。
果てしない。

その中でもアゲハにとって最も恐ろしい敵はヤドリバエやアゲハヒメバチと言った寄生虫だ。
これに寄生されることで死亡率が一気にあがるそうだ。

話には聞いていたが、キアゲハでは一度もそんなことはなかったので、あまり気にしていなかった。
キアゲハの食草はうちでは三つ葉とフェンネル。
そしてナミアゲハとクロアゲハは柚子と金柑の葉っぱ。
この柑橘系アゲハの世話をするようになってから最初の一団が壊滅状態になった。

サナギになって数日、殻を破って大きな蛆虫が出てきたのだ。
ヤドリバエの幼虫で、丸々太っていて、一日経って黒い蛹になった。大ショック!
当然アゲハのサナギは死んでしまう。

調べてみるとヤドリバエは、アゲハの幼虫が葉を齧った時の唾液と葉の汁が混じった匂いを嗅ぎつけて、葉っぱの裏に直径0.2ミリの卵を産むそうだ。
それを幼虫が気づかずに食べ、体内で孵化して潜伏し、サナギになると一気に中身を食べながら成長を始めるらしい。

 憎い奴だけど、これが自然界。
私は人間で良かったなあ。
「ごめん、勉強不足で本当にごめんね。」
死んでしまったサナギたちに謝りつつ、今度は柚子の葉の表裏隅々まで柔らかいスポンジで良く洗うようにした。
(また手間が増えたぞ!)

そして、ようやく第一号のクロアゲハ誕生!
朝日を浴びて、なんと綺麗なことか。

そしてふと、クロアゲハを見ながら思った。
私は黒い生き物が好きなのか?
黒プードルも黒ラブも大好き、一番飼いたい犬はベルジアン・タービュレン(黒オオカミみたいな犬)。
だからアミに引き続きあやめに惹かれるのか?
・・・そうだったのか? 発見か?

いやいや違う。
黒い虫で唯一許せない奴、いるね。

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