舞台『男捨離』初日観劇したのでご紹介。 | 今日も彼の人は笑っているか。

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まずこの物語はある男の語りから始まる。彼の名は佐平次。彼の噺は真面目に働く若者・久蔵が花魁・高尾に恋患いをしたところから始まる。

板の上には松が描かれた幕を背景に座布団が一枚だけ。そこに佐平次演じる岡田地平がやってきて座ることで開幕するのが『男捨離』だ。

本当に落語が始まったかのような始まりから一転、佐平次の背後に語られていた登場人物が実際に出てくることで自然と落語の世界が目の前に飛び出したかのようになる。台詞も途中から佐平次を離れ、後ろの久蔵と親方に引き継がれる。それでも佐平次が語っているという体で口を動かし、演技を続けているのでそちらも必見だ。

やがて噺家・佐平次は退場し、物語の中に登場する。飄々とのらりくらりと生きる彼は所謂悪党だ。
佐平次は特殊な登場人物である。語り手であり、登場人物である。そして裏の主人公と言えるかもしれない。彼の語る噺がどこに辿り着くか。彼の美学とは。佐平次の結末も是非心して見届けて頂きたい。

さて。とはいえこの物語の主役は林明寛演じる久蔵である。

久蔵は真面目に働く童貞だが、錦絵で見た高尾に惚れ、なんやかんやあり実際の高尾に会うことができたが手を触れただけで失神してしまうどうしようもないへたれだった。

それから一年後、久蔵は親友の時次郎と吉原にリベンジしに行こうと決意するが金がない。金持ちのボンボンである時次郎と、話術巧みに時次郎の両親を説得する佐平次を頼りに何とか再び吉原にやってきた久蔵。

高尾に再会するも一年前のことは忘れられていた。しかし全く気にしない久蔵はずっと溜めていた思いの丈を素直に伝える。「あんたを守ってやりたいって思うんだ。そんなこといろんな人に言われてるんだろうけど……」馬鹿正直な久蔵に当てられ、二年後に年が明けることを口にする高尾。

また再会の約束し吉原を後にする久蔵たちだがやはり金がない。愛した人に会いたいとなりふり構わなくなった久蔵と時次郎は再び佐平次を頼りにお金を工面しようとするが、彼は居残りを生業とする悪党だったのだ……。


メインは久蔵と高尾の物語だが、親友・時次郎と幼い花魁・お久の恋、佐平次を取り合う花魁・お染と小照の恋、佐平次の企み、高尾の過去、と様々な登場人物の想いが交差し、物語はオチへと向かっていく。

そう、これは落語の世界。オチがなければならない。
ハンサム落語第十幕まで皆勤賞なことが決まっている今作の脚本・演出を務める磯貝龍虎の描いた落語をモチーフにした舞台『男捨離』。落語を愛する彼がどんなオチをつけたか、どうか楽しみにして頂きたい。



ここまではあらすじのご紹介でしたが以降はふわっとどんな舞台かをお話します。



「古典落語の噺に登場する主人公が吉原へ童貞を捨てに行く 新感覚風人情コメディー風ミュージカル風ステージ」

という見出しでしたが、ミュージカルはそんなに入っていません。突然歌い出すけどOPと劇中一度だけです。楽しいナンバーと艶やかなナンバー。あの衣装で踊る姿は目を惹かれます。

コメディーはしつこくギャグが入ります。無茶ぶり大好き磯貝龍虎が存分に発揮されています。龍虎さん自身も無茶ぶりのために出てきますので楽しいです。
そして人情も龍虎さんらしい描き方をされています。引き込まれること間違いなしなのですが、そこにも容赦なくギャグをぶち込んだりするので努々油断なさらないでください(笑)

コメディーとシリアスのバランスが実に良くて、散々笑ったかと思えば切ないシーンにじーんとなったり、でも主演とヒロインが明るく牽引してくれるので明るくハッピーな結末を迎えます。

どたばたと楽しい舞台でした。磯貝龍虎さんらしい舞台です。是非気になった方は恵比寿エコー劇場で6/24まで上演される舞台『男捨離』に足を運んでみては如何でしょう?

 

『男捨離』ホームページ

http://am-bition.info/dansyari.html

あと行かれる方はパンフレットを是非購入して頂きたい。
フルカラーの美麗なビジュアル写真はもちろん、磯貝龍虎先生の悪ふざけが存分に詰まった楽しいパンフになっております。12星座占いが載ってるパンフなんて初めて見ました。写真もたっぷりですので是非に。


ここまで読んでくださりありがとうございました!
磯貝龍虎ワンダーランド(岡田さん命名)をお楽しみください!



(p.s.もうちょっとしたらネタバレありの記事も上げるかもしれません)
→6/25 上げました。 https://ameblo.jp/aikawadrama/entry-12386244410.html