そんな素敵なお誘いを受けて、ジャイプール行きのバスを変更した。
砂漠の地ラジャルターンにあるジャイプールへは2度目。
観光ツアーで行った時とは違う、都会の表情を見た。
さて、予定の時間になっても連絡が来ず、ジャイプールのどこにいたら良いのか分からない。
しばらくカフェで時間を潰すと、トラブルで来れなくなったとの連絡。
ま、そんな事もあるよ。
と、1人で観光地を調べた。
日が高いうち外を歩き回るのは得策ではないので、2時間くらい小説を読んでから出掛けた。
すると、もう陽が傾いてるではないか!
まだ5時前なのに。
近くのお寺を見て回わる予定を変更し、タクシーを捕まえて街の外れの山へ。
タクシーから降りると、さっそく何人もの客引きガイドに話しかけられる。
だが、思いの外、悪い感じがしない。
「やぁ、猿に餌をあげたくないかい?写真撮ってあげるよ」
「いくら?」
「50でいい」
「それは高過ぎる!」
「じゃあ、こっちの小さいのを20でどうだい?」
のった! ピーナッツの詰まった小袋を買う。
面倒な値段交渉に身構えたのだが、怒りが込み上げるほどのボッタクリをする気はないようだ。
「ほら、僕が写真を撮ってあげるから。一回僕に餌を渡して。そうしないと猿が襲ってくるから。」
素直に餌と携帯電話をガイドの男に渡した。
少しづつ男からピーナッツをもらい、それを猿にあげた。
ガイドは親切に色んな角度から写真を撮った。
身なりも清潔にし、インド的感覚ではハンサムに入る部類だろう。
「猿は僕の事はよく知っているけれど、中には危ないのもいるからね。昨日もイギリス人が指を噛まれて病院に行ったんだ。狂犬病の注射は高く付いたよ。」
それも、事実かと思って良い話しだと思った。
なぜだろう。
以前、1人で旅をしていた時にはどこでも怖い目に合った。
付きまとうインド人男性から逃げることで精一杯だった。
今、こんなに楽に入られるのは、多少覚えたヒンディー語と、清潔な身なりのお陰だろうか?
バックパッカーの格好は危険なのだろう。
当時はあれだけ貧乏に見せる事に固執していたのに、逆効果だったようだ。
しばらく写真を撮ってもらい、
坂の上にガイドすると申し出された。
これ以上は有料なのだな。
と悟り、そこでガイドと別れた。
全くしつこくなく、呆気なく離れてくれた。
こんな事、インドで始めて。
坂道は物乞いの住処だった。
子供たちの欲しがるお金はほんのわずかな小銭だったけれど、一度ノーと言うと、チョコレートを欲しがり、それも断ると呆気なく一緒に遊んでくれた。
こんな感じの良い物乞いに会ったのは始めて。
もう夕日が始まっている。
早く頂上からの夕日を見に行かなくちゃ。
子供たちとも、呆気なく別れる事ができた。
この山の人達は感じが良いな。