今年も残すところあと3日。

ということで、恒例の今年のお仕事①である。 

 

今年の論文は3本。

昨年度に行った遺跡学会の口頭報告を文章化。遺跡の管理手法についての報告をどのように整備するかは、どのような使い方をするかによる逆転発想。また、買い上げ地における農地利用の推進。これは、景観の問題・維持管理費の問題などを解決できる。当然、整備するまでの暫定処置だが。

本格的な論文は、飛鳥京跡苑池の性格についての検討。近年の調査によって、飛鳥京跡苑池の全貌が判明してきた。斉明朝と天武朝を分けて考えることによって、性格の変遷が見えてくる。これは飛鳥時代苑池から奈良時代苑池への変遷の過度期を示すもので、同時に当時の国際交流の変遷も示していることを明らかにした。

もう一本は、大学OB会である山陵の丘研究会誌に掲載していただいたもの。近年の大極殿院の調査成果を受けて、王宮中枢正殿群の変遷を小墾田宮から平安宮まで明らかにした。ポイントは、藤原宮を計画段階と施工段階に分けて考えたこと。その過程で、「大安殿」が藤原宮では「大極殿」と同一建物であること、平城宮東区大極殿下層建物が「大安殿」であることも明らかにした。

この他に、書評の中では、私の論文への反論に対する反論を記しておいた。

 

報告書は2冊編集した。

1冊は、私の現場ではないが、重要な木簡と土器があるので、なんとか報告書の形で提示した。もう一本は、水野先生が調査された経塚の報告書。再整理の過程で、当時とは異なる見解になったが。

 

その他では、『総合研究所報』『文化財学報』は業務報告。

さらに『近畿文化』には日本国誕生の概説、『山川歴史PRESS』は教員向けの八角墳の解説。明日香村文化協会では顧問になったので『明日香』にキトラ古墳天文図の成立背景について。『地域づくり』には日本遺産飛鳥の取り組みについて記した。

『日本石造文化事典』では、いくつかの項目について解説した。大学では雅楽研究会の顧問となっており、創立40周年を迎えたので『鼗鼓(ふりつづみ)』に小文をしたためる。

この他連載では、『月刊ならら』に、川原寺、飛鳥岡本宮、石神遺跡東方、飛鳥の古代地名、世界遺産などを記す。また、

『飛鳥遊訪マガジン』には、本薬師寺の南門、石神遺跡、若草伽藍の南辺の調査解説。

 

 

(論文等)

・「明日香村における遺跡の保存・管理と活用」「座談会 遺跡保護の多様なあり方を求めて」『遺跡学研究 第20号』日本遺跡学会 3月

・「古代庭園の継承と変革-飛鳥京跡苑池の歴史的位置づけ-」『奈良大学紀要 第52号』奈良大学3月

・「王宮中枢正殿群の系譜-藤原宮大極殿後殿に関連して-」『山陵の丘文化財學論集 第1輯』山陵の丘研究会4月

・「小澤毅著『古代大和の王宮と都城』」『日本歴史 第917号』吉川弘文館10月

(報告書)

・『西橘遺跡発掘調査報告書-明日香村役場新庁舎建設及び明日香村中山間地域農村活性化総合整備事業に伴う調査-』明日香村教育委員会3月

・『朝来経塚群発掘調査報告書-和歌山県上富田町における経塚・古墳の調査-』奈良大学文学部文化財学科3月

(その他)
・「飛鳥・藤原地域における歴史遺産の基礎研究」『総合研究所所報 第32号』奈良大学総合研究所2月
・「奈良市における平城京の調査研究」『総合研究所所報 第32号』奈良大学総合研究所2月
・「令和5年度 奈良市における平城京の調査研究」『文化財学報 第42集』奈良大学文学部文化財学科3月
・「奈良市における平城京の調査研究」「飛鳥・藤原京と古代国家の形成」『総合研究所所報 第33号』奈良大学総合研究所 )10月

・「奈良大学雅楽研究会 創設四十周年を迎えて」鼗鼓(ふりつづみ)-第肆輯-』奈良大学雅楽研究会四十周年実行委員会3月

・「『日本国誕生』の物語-飛鳥宮周辺を歩く-」『近畿文化 第893号』近畿文化会4月
・「八角墳の創出-飛鳥時代の天皇陵-」『山川歴史PRESS 第19号』山川出版社4月
・「飛鳥の星空を観る-キトラ古墳天文図成立の一背景-」『明日香 明日香村文化協会会誌 第46号』明日香村文化協会4月
・「国家形成期の女性活躍の物語-『飛鳥』のストーリー、分かりやすく-」『地域づくり8月号特集編(通巻422号)』地域活性化センター8月

・「酒船石」「亀石」「水落遺跡」「須弥山石」「猿石」「亀形石槽」「酒船石遺跡」「竹野王石塔」『日本石造文化事典』朝倉書店10月

・「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ㉑謎の大寺『川原寺』の革新性」『月刊大和路 ならら304号』なら文化交流機構1月
・「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ㉒飛鳥岡本宮を再検討する」『月刊大和路 ならら306号』なら文化交流機構 3月

・「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ㉓石神遺跡東方に重要施設はあるか?」『月刊大和路 ならら308号』なら文化交流機構5月
・「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ㉔飛鳥の古代地名を復元する討」『月刊大和路 ならら310号』なら文化交流機構 7月
・「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ㉕地名は歴史を語る」『月刊大和路 ならら312号』なら文化交流機構9月
・「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ㉖『飛鳥・藤原』を世界遺産へ」『月刊大和路 ならら314号』なら文化交流機構 11月

・「飛鳥・藤原の考古学 本薬師寺の南門の調査成果は何を語るか-本薬師寺南門跡の調査から-」『飛鳥遊訪マガジン Vol.429』両槻会3月
・「飛鳥・藤原の考古学 石神遺跡の再検討-石神遺跡(飛鳥藤原第214次)の調査から-」『飛鳥遊訪マガジン Vol.430』両槻会3月
・「飛鳥・藤原の考古学 若草伽藍の南辺-法隆寺周辺遺跡(23-1次)の調査から-」『飛鳥遊訪マガジン Vol.430』両槻会 33月