今年もあと2日。
ということで、今年のお仕事(執筆編)。
今年の執筆で一番大きなものは、『飛鳥・藤原京と古代国家形成』の刊行。『古代飛鳥の都市構造』に続く第2論文集。多くは再録ではあるが、新稿もいくつか掲載しているのが特徴。もうひとつの特徴は、王宮・王都関連だけでなく、寺院・古墳も対象にしたこと。これによって、律令国家の形成過程が、多面的に検討できるようになったと考えている。まだ、検討すべく点は多いが、前著と合わせて読んでください。
ここ数年来、聖徳太子関連で斑鳩地域について考えることが多かった。これに伴い、斑鳩の都市構造についても検討した。斑鳩地域に方格地割を復元する説が多いが、そうではなく、蛇行しながらも直線を指向する「古竜田道」を基軸として、その北の微高地(丘陵上)に宮・寺を配置すると考えた。これは、7世紀初頭の飛鳥の都市構造と共通すると考える。
また、数人の協力を経て、『飛鳥・藤原研究関連文研目録(稿)』を刊行した。これまでも部分的に公開してきたが、これらをまとめたものである。この内容は、奈良大学のHPで公開している。
報告書はないが、現在整理中の平城京の簡単な年度事業報告である。これは整理の班長をしている学生との共著である。近いうちに報告書の1冊目の刊行を目指している。
この他に、文化財学科の教員が分担して執筆した『文化財学入門』を刊行した。私の執筆分担は考古学ではなく、「文化財学」についてである。うちの学科の特徴である。また、明日香村文化協会の冊子『明日香』にキトラ古墳について執筆した。今年はキトラ壁画40周年という節目の年。また、世界遺産関連もあり、古都飛鳥保存財団が検定を行う。このテキストブックのいくつかの項目も執筆した。
今年も『ならら』に隔月連載を継続。さらにメルマガ連載も継続中。
(論文等)
・『飛鳥・藤原京と古代国家形成』吉川弘文館 12月
・「古代斑鳩の都市構造」『奈良大学紀要 第51号』奈良大学 2月
・『飛鳥・藤原研究関連文研目録(稿)』奈良大学文学部文化財学科 3月
・「書評 竹田政敬著『都城藤原京』」『古代文化 第75巻第1号(通巻632号)』古代学協会 6月
(報告等)
・「令和4年度 奈良市における平城京の調査研究」『文化財学報 第41集』奈良大学文学部文化財学科 3月(森山そらの と共著)
(その他)
・「文化財学事始め-文化財学と奈良大学文化財学科-」『文化財学入門』ナカニシヤ出版 3月
・「キトラ古墳回顧-調査・公開の顛末-」『明日香 明日香村文化協会会誌 第45号』明日香村文化協会 7月
・「さまざまな遺跡」「酒船石遺跡」「飛鳥水落遺跡」「飛鳥寺西方遺跡」「甘樫丘東麓遺跡」「川原寺裏山遺跡」「川原下ノ茶屋遺跡」「五条野内垣内遺跡」「五条野向イ遺跡」「飛鳥寺瓦窯」「上の井手遺跡」「古宮遺跡」「雷丘北方遺跡」「平田キタガワ遺跡」「島庄遺跡」「佐田遺跡群」「森カシ谷遺跡」「佐田タカヤマ遺跡」「八釣マキト遺跡」「飛鳥・藤原地域から出土した土器」『飛鳥・藤原まるごと博物館検定 公式テキストブック』淡交社 10月
(連載)
・「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ⑮皇后・鸕野讃良の宮か?」『月刊大和路 ならら292号』なら文化交流機構 1月
・「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ⑯徹底解明!キトラ古墳を考える」『月刊大和路 ならら294号』なら文化交流機構 3月
・「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ⑰飛鳥からみた大宰府都城の成立」『月刊大和路 ならら296号』なら文化交流機構 5月
・「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ⑱藤原京からみた大宰府都城の成立」『月刊大和路 ならら298号』なら文化交流機構 7月
・「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ⑲飛鳥から『烽』は見えるのか!」『月刊大和路 ならら300号』なら文化交流機構 9月
・「奈良大学考古学講座 飛鳥の遺跡を学ぶ ⑳『飛鳥川原宮』は何処に?」『月刊大和路 ならら302号』なら文化交流機構 11月
(メルマガ)
・「飛鳥・藤原の考古学 壬申の乱の意味するもの②-近江から吉野へ 壬申の乱前夜-」『飛鳥遊訪マガジン Vol.421』両槻会 4月21日
・「飛鳥・藤原の考古学 甘樫丘にある遺跡-甘樫丘遺跡群の調査から-」『飛鳥遊訪マガジン Vol.424』 6月9日
・「律令期の烽と飛鳥烽群」『飛鳥遊訪マガジン Vol.425』両槻会 6月23日
・「飛鳥・藤原の考古学 藤原宮造営当初の技術革新-日高山瓦窯(飛鳥藤原第213次)の調査から-」『飛鳥遊訪マガジン Vol.427』両槻会 7月21日
・「飛鳥岡本宮の発見か?-飛鳥宮跡(飛鳥京跡190次)の調査から-」『飛鳥遊訪マガジン Vol.428』両槻会 12月8日