恒例の2014年のお仕事である。
今年の執筆刊行論文は2本。「飛鳥寺西」は、「飛鳥寺北」論文の延長上に位置づけられる。飛鳥寺の北に小墾田宮を想定したことにより、石神遺跡の変遷を検討し、さらに水落遺跡・飛鳥寺西方遺跡も含めて、考えると、この地域の歴史的変遷と重要性を浮かび上がることになった。そして、ここはまさに、天下の中心に位置づけられていたと考えたものである。「研究学史」は昨年に諸般の事情により、文献目録を先に刊行した、本文編である。10年の調査研究学史を整理し次なるステップとするものである。この他には、藤原京に関する論考も執筆したが、こちらは来年に刊行である。
報告書は、すでに現場にもでていないので、ない。過去の調査のまとめである正報告書はなんとかしたいものであるが。
図録は毎年恒例となった、飛鳥資料館での速報展の図録である。ここでの総括文章を担当。また、東京でキトラ古墳壁画展の図録の一部も担当させていただいた。
その他の文章としては、朝日新聞が連載している「飛鳥むかしむかし」に1本。この連載は企画段階から関わらせてもらっているが、当初の予定では、橿考研所員にも参加して、飛鳥地域の担当者を総動員した連載にしたかったのだが。「ふたつの飛鳥川原宮」は「飛鳥寺北」や「飛鳥寺西」の論考の中で着想を得たもので、川原宮と川辺行宮は、いずれも水落遺跡下層に比定できるのではないかというものである。この他には、今年も「飛鳥・藤原の考古学」を継続中。旬の話題も多いが、最近の旬は重なる傾向が強い。もう少し、発表の間隔をあけてくれると、バランスが良いのだが。そして、継続ものは、舒明朝が完結し、皇極朝に突入。5号まで、刊行されているが、すでに9号まで納品済み。来年は孝徳朝へと進んでいく予定である。全体構想は、メルマガ200号記念に記しておいた。
(論文)
・「飛鳥寺西の歴史的変遷-飛鳥における天下の中心の創造-」『万葉古代学研究年報 第12号』
・「飛鳥研究学史(2001~2010)-調査・研究の現状と課題-」『明日香村文化財調査研究紀要 第13号』
(図録)
・『飛鳥の考古学2013』(共著)
・『特別展 キトラ古墳壁画』(共著)
(その他)
・「飛鳥むかしむかし30 飛鳥の宮殿編 小墾田宮」『朝日新聞』
・「地ノ窪谷の古墳群-終末期古墳の新資料-」『考古学ジャーナルNo.655』
・「ふたつの飛鳥川原宮」『明日香 明日香村文化協会々誌 第36号』
・「飛鳥・藤原の考古学 舒明朝の王宮と寺院10」(飛鳥遊歩マガジン)
・「飛鳥・藤原の考古学 皇極朝の王宮と政変1~5」(飛鳥遊歩マガジン)
・「飛鳥・藤原の考古学 飛鳥宮の中の苑池空間」(飛鳥遊歩マガジン)
・「飛鳥・藤原の考古学 古代寺院と瓦窯」(飛鳥遊歩マガジン)
・「飛鳥・藤原の考古学 飛鳥前史を語る積石塚」(飛鳥遊歩マガジン)
・「飛鳥・藤原の考古学 国賓を迎える飛鳥の宮廷庭園(後編)」(飛鳥遊歩マガジン)
・「飛鳥・藤原の考古学 藤原宮の中心」(飛鳥遊歩マガジン)
・「飛鳥・藤原の考古学 礎石建物が物語る新たな官衙像2」(飛鳥遊歩マガジン)
・「飛鳥・藤原の考古学 『飛鳥・藤原の考古学』の構築を目指して」(飛鳥遊歩マガジン)