近江俊秀著『道が語る日本古代史』を読んだ。これまでの道路研究を一般向けに書き下ろしたものである。しかし、これまでの道路そのものの研究だけでなく、それをとりまく、いつ?誰が?何の目的で?道路が造られたのかを検討している。おもしろい研究である。そのなかでも、608年の遣使入京経路と610年の新羅・任那使入京経路の違いについて、その主催者の違い、つまり聖徳太子と蘇我馬子の意図だとしたのである。また、これらの記事は、来年1400年を迎える613年の「難波より京に至る大道をおく」と関連して、官道設置時期の根拠のひとつともされていたが、また違った解釈ができることもおもしろい。
さて、この内容を含めて、推古朝の都市景観を考えようか。
・近江俊秀 『道が語る日本古代史』 朝日新聞出版 2012.6刊行
