『聖武天皇が造った都』を読んだ。奈良時代の平城京の他に造られた難波宮・恭仁宮・紫香楽宮の三都について記したものである。前半部分は三都について紹介しており、後半部分は三都の造営理由が記されている。平城京のほかに難波京を造営したのは、唐の複都制を採用したものとする。さらに恭仁京造営は、水上交通の利便性を都の中に組み込んだ、唐の三都制によるものとする。さらに紫香楽宮の造営は、大仏鋳造を甲賀で行うにあたって、紫香楽宮を造ったとする。まだまだ謎の多い聖武朝の複数都城の造営であるが、ひとつの解答であろう。しかし謎はまだまだ残っているのも事実である。
 
小笠原好彦 『聖武天皇が造った都-難波宮・恭仁宮・紫香楽宮-』 吉川弘文館 2012.3刊行
・複都制の都-プロローグ-
・難波宮・京の造営
・恭仁宮・京への遷都と造営
・紫香楽宮と廬舎那仏の造立
・甲賀宮の造営と遷都
・聖武天皇による都城の造営と三都制
 
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