今年もこの季節がやってきた。奈良博恒例の第63回正倉院展である。いつものごとく、展覧会には行っていないのだが、なぜか図録だけはゲットしている。
 さて、今回の展覧会でのお気に入りはいくつかあるが、まずは表紙にもなっている「金銀細荘唐大刀」。唐様大刀で高松塚の大刀金具と類似するので、比較の意味でも興味がある。もっとも正倉院のものは、名前にあるように派手で荘厳な趣を呈しているが。
 続いては、東大寺周辺の巨大な絵図「東大寺山堺四至図」。天平勝宝8年制作のもので、当時の東大寺周辺がよくわかる。これを現在の地図と比較すると、とてもおもしろい。
 最後は丸太。いえいえ、ジンチョウゲ科ジンコウジュ属植物の樹幹。「蘭奢待」。別名「東大寺」である。香として使用され、幾つかの部分が切り取られている。その中には、足利義政、織田信長、明治天皇が切り取った箇所がある。いったいどのような香りがするんでしょうかね。
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