先日のお江戸への道中、都出比呂志先生の『古代国家はいつ成立したか』を熟読。言わずと知れた、都出氏は古墳時代研究の大家。古代国家の成立を古墳時代におく。特に、7世紀に成立する律令国家の前段階として、古墳時代を初期国家と位置づけているのである。これを解説するために弥生時代から筆を起こし、律令国家までを描いている。実にわかりやすい図書である。問題は国家や都市の定義であろう。その位置づけいかんによって、理解に差があらわれると思う。個人的には持論である、「日本誕生」は7世紀と思っているが、その前段階に初期国家があってもかまわない。というよりも、未成熟ながらそのような国家?があるべきかも知れないと思う。7世紀の飛鳥を知るためには、その後の藤原京・平城京との比較は必要であり、前段階の古墳時代の都市との比較研究も必要である。残念ながら、古墳時代の都市の様子が不鮮明なので、明確には比較できないが、ここの解明が飛鳥の解明につながると思う。その意味で本書は古墳時代の国家観をわかりやすく記されているので、実に興味深い一冊である。
・都出比呂志 『古代国家はいつ成立したか』 岩波新書 2011.8刊行
 
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