梅雨に入り、シトシトと雨が降り続く。さらには台風2号も接近中である。そんな中、昨日は閉幕ちかい飛鳥資料館に行ってきた。「星々と日月の考古学」が開催されている。キトラ・高松の天文図壁画を中心に、中国蘇州淳祐天文図や天象列次分野之図もある。この4者を詳細に比較するとなかなか楽しいものである。
飛鳥時代は『日本書紀』を見る限り、まさに天文学が我が国に伝えられた時代である。これを証明する遺構・遺物がキトラ天文図であり、高松塚星宿図である。しかし、この他にも飛鳥時代の天文学を示すものが多くある。水落遺跡の漏刻や飛鳥池遺跡の富本銭や「観勒」木簡や「天皇」木簡、石神遺跡の「具注暦」木簡、藤原宮呪符木簡、大阪市桑津遺跡の呪符木簡など。これらの遺構・遺物が物語る世界が、キトラ古墳天文図の描かれた背景にあるのである。飛鳥の星空は、このような世界であったと思う……。
