先日、藤原宮大極殿院東南隅の調査成果が発表され、現地説明会も開催された。残念ながら、当日は所用により行くことができなかったが、後日、見学することができ、丁寧な説明をいただいた。
 今回は回廊東南隅もおもしろいが、下層の造営運河が興味深い。昨年の調査で南北造営運河をある時期に途中で東北に方向を変えて流れることが判明した(斜行溝B)。今回はこの斜行溝Bが、ほぼ南北に方向を修正していることが判明(南北大溝)。つまり、大極殿院南門を造営するために、その建築位置を避けるように、造営運河を付け替えているのである。さらに次の段階では、南北大溝を東西回廊の南辺で、東に方向をかえている(東西大溝)。おそらく、南門の次に大極殿院回廊を建設するために、その位置を避けて、東に水を流しているのである。つまり、建物を建築するたびに運河を付け替えているのである。このことから、施設の建築順序がわかると共に、建設当時の様子がよくわかるのである。
 ここでひとつ疑問が……。東西大溝はどこまで続くのであろうか?そういえば、東に隣接する100次調査南端でも東西大溝があったので、ここまでは続いているのであろう。さらに東には内裏外郭の東側を流れる南北基幹水路がある。これが宮造営時期に存在していたかは明確ではないが、これに繋がっていた可能性が考えられる。今後の調査で確認してもらいたい