最近新しい本を読んだ。植木久著『日本の遺跡37 難波宮跡』同成社 である。このシリーズは日本の遺跡の概説書である。この種のシリーズは某社からもでているが、テーマが重ならないようにするのは、なかなか難しいのであろう。
 ところで難波宮の概説書はこれまでにもあったが、執筆者の専門分野によって、すこしずつベースが違う。考古学であったり、文献史学であったり、難波宮の概説という基本は各自おさえているが、ベースに専門性が現れる。今回の著者は建築を専門とされている。よって、建物配置や建築構造の復原などに個性があらわれている。これまで、論文などでは読んだことはあるが、一般の人にはなかなか興味深いのではないだろうか。みなさん一度、読んでみてください。
 植木氏はもう20年ほど前になるが、難波宮で私が補助員をしていたときの調査担当者だった。あの頃は現場でいろいろとお世話になり、たくさん教えてもらった。その頃から大阪市文化財協会に出入りし、研究会にもよく行くようになった。各宮都の調査の専門家ばかりの研究会で、当時私は最若手だった。研究会はその後、下火になり、長らくご無沙汰していたが、数年前から復活。時々出かけている。さすがにもう若手ではないが……。
 最近興味のあるテーマで、いろいろと調べていると、昔やっていた難波宮のことにかかわることが多い。何とか形にしなければ……。