今日は七夕である。織り姫さまと彦星さまが、天の川を隔てて、一年一回出会える日である。今、雨は上がったものの、曇っているので星空がみえない。残念だ……。
 そもそも七夕祭りは古来、中国にその起源をもつ。日本での成立はよくわからないが、『日本書紀』持統5・6年の七月七日に宴の記事があり、年中行事としてすでに成立していたと考えられる。さらに天武8年に詠われた『万葉集』に七夕の歌があることから、その成立は7世紀後半まで遡ることがわかる。
 七夕祭りの内容は、詩を詠んだり、相撲をみたり、宴を催すことなどが記されているが、平安時代の日記などからは、七夕の日には、芋の葉っぱに溜まった露を集めて墨をすり、梶の葉に和歌をしたためたことがわかる。
 これを伺うことのできる木簡が、飛鳥池工房遺跡から出土している。有名な天皇木簡である。「天皇聚□露弘□寅」と記されており、「天皇が露を集めて行うこと」とは、七夕の詩を詠むための墨をすることであったのかもしれない。
 一点の木簡は、七夕の成立時期を証明する重要な証拠となるかもしれない……。