庭園学会に行ってきた。私を含めて京都市のIさん、奈文研のUさんの3本の報告があった。私の発表は以前に書いたことのある内容で「庭園遺構」を方形池と曲池の2種類に分け、さらにそれぞれを細分して、性格付けを行うというものです。これまで「池」が見つかったり、石造物があると「庭園」と決めつけていたが、純粋に、酒を飲み、歌を詠み、宴を行うような池は「曲池B類」とした飛鳥京苑地などだけで、方形池は服属儀礼や寺院の蓮池、そして貯水池ではないかと推定した。
 今回の研究会で、最も印象深かったのは、京都市のIさんとの話の中で盛り上がった、神社の成立です。天武朝に伊勢神宮や斎宮制度を成立させ、これに伴って、神社が成立する。最も、神社と考えられる遺構は古墳時代などでもみられるが、7世紀後半に政(マツリゴト)が政治と祭祀に分離する。政治に関わる要素が宮殿に、祭祀にかかわる要素が神社にと二分されたのではないかと考えられる。当然藤原宮以降の宮殿でも、天皇祭祀などが今日まで実践されているが、これは律令体制の下に規定・含まれた祭祀で、シャーマニズム的なものではない。このような「政」の分離が律令国家成立を考える大きなポイントのひとつだと考えられた。
 今回の研究会では、この点を認識できた事が最大の成果で、このあたりも、今後深めていかなければいけないと思った一日でした。