みなさま、お正月はいかがお過ごしでしたでしょうか
 皆様にとって、2012年が幸多い年となりますように、心よりお祈り申し上げております。

 私は、1月7日から13日まで、ワシントンD.C.のアメリカ議会にてTPP(環太平洋パートナーシップ協定)に関する政府関係者との会談や団体ヒアリングに行って参ります。

 TPPは、今後の日本の国のあり方を選択する大きな分岐点となる枠組みです。

 TPP交渉参加に反対しているのは、何も自由貿易を阻害したいからではありません。零細企業の経営者を経験し政治家になった私として、貿易が促されることを嫌う理由などありません。

 ただしその経済連携のあり方は、従来の枠組みやEPAやFTAなど2国間や多国間で十分に協議するなど、それぞれの国のあり方を尊重する形での経済連携を模索し、現在のTPP交渉とは別の形で推進されるべきです。

 国内47都道府県の44議会が反対していて、与党内でも反対の声が根強い中での、加盟を前提にしたような議論への参加は拙速だと思います。

 外交交渉とは、何を守り、何を譲り、何を勝ち取るかをしっかり定義し、戦略的に進めるべきものです。現に、アメリカは郵政・自動車の非関税障壁や牛肉の輸入問題など明確に要求を突き付けてきています。しかし、野田首相は大切なものは守ると言いながら、郵政改革法案でさえも未だに棚ざらしのままです。国民への説明がなく、理解が得られていません。

 国には個性というものがあります。障壁と表現されることもありますが、自国と他国が差別化されているのが自然ですし、世界の多様性こそが豊かさを生みだすのだと思います。いくらグローバリゼーションの時代だからといって、何についても障壁をなくせばいいということではないと思います。

 さらに、TPPにはISD条項(もしくはISDS=Investor State Dispute Settlement)の問題があります。これは、国家・投資家間における訴訟問題などと訳されますが、投資企業が相手国の国家を国際仲裁裁判所に訴えられるものです。仲裁裁判所の判事は代々アメリカ人であり、訴訟の違法性よりも投資家に損害が発生したかが争点となり、TPPの非関税障壁の撤廃により、あらゆる分野において、外国からみると障壁と見える、その国、独自のシステムが損害を与えたと判断されれば、多額の賠償金を国家が投資家に支払う義務を課せられるというものです。

 たとえば、雇用や遺伝子組み換え食品の非表示問題や医薬品についても、アメリカ人の仲裁裁判所の判事に一国のあり方というものを、否定される行為であり、これは、内政不干渉に反する行為である思います。