12月6日の衆議院本会議で、ヨルダン、ベトナム、ロシア、韓国との原子力協定が可決されました。ヨルダン、ベトナムは原発輸出、ロシアとは再処理に関して、韓国とは原発の資機材輸出のための協定です。

 民主党として、今後の原発行政(国内・国外含め)をどうするのかということの方針がまだ決まっていない今、この時期に原子力協定を締結することには慎重であるべきであると私は思います。

 福島の原発事故の調査結果がまだ出ていない今、また原子力のバックエンドの問題(世界でフィンランド以外、核廃棄物の最終処理の解決策がありません。)が未解決の不完全な商品と言わざるを得ない原発を、今まさに福島原発事故を抱えて心を引き裂かれるような辛い体験をしていて、事故が起きるとどんな大変な事態を招くのかを経験した日本が、どうして、外国の方々に堂々と原発を推奨することができるでしょうか?

 今回の4つの国との原子力協定の中で、私が特に疑問に思っているのが、ヨルダンとブラジルとの原子力協定です。ヨルダンはイスラエルのすぐ隣の国であり、ヨルダンの原発の建設予定地は砂漠で、予定地のまわりには、15万人もの方々が住んでいます。また、不測の事態が発生したときの冷却水の確保も水のないヨルダンでは大問題です。さらに、イスラム地域は、「アラブの春」といわれる民主化の大きなうねりの中で、テロが起きており、ヨルダンも高いテロの危険性がぬぐえませんし、ヨルダンの経済の脆弱性の問題など治安に不安があり、使用済み核燃料の中間貯蔵地が未定であることなど問題点が多く存在します。ブラジルは現在、国立公園の隣に原発を建設予定です。

 原子力協定とは、原子力の技術を輸出入する際に、平和的非爆発目的利用のために行い、軍事転用を防ぐために政府間が結ぶ協定です。日本は米国やフランスなど7ヶ国1地域(EU)とすでに締結をしています。

 今回のヨルダンとブラジルとの原子力協定は原発の誘致が前提です。ヨルダンは、現時点で日仏合弁(三菱重工とアレバ社)企業、カナダ企業、ロシア企業の3社が受注を競っています。

 日本の技術が大変高くどんなに信頼が置けるものであっても不測の想定外の事態に対処できない以上、次の世代に引き継ぐ地球が汚染され危険な状態になってしまうということを、私たち日本人こそが311の体験から警鐘を鳴らさなければいけないのに、優秀な日本製の原発が望まれているからと言ってこれ以上の原子力を地球に増やすことを推進していいのでしょうか。

 日本は、来年の夏に向けて、様々なグリーンエネルギーに投資することで、原発の代替エネルギーを早急に模索する必要があります。世界を先導できるクリーンでエコなエネルギー技術こそ、世界の方々に誇りを持って、おススメできる日本の技術であると確信しています。

 日本のソラーパネル技術は飛躍的に進歩していますし、蓄電技術もスマートハウスなどのエネルギーのベストミックスによっても、かなりの節電が見込めます。今まで、石油に過度に依存し、エネルギー開発に力を注いでこなかったことで、大量にメタンハイドレードなどの天然資源が眠ったままで手つかずなわけですから、大胆に新しいエネルギーにシフトしながら、グリーンエネルギーにしっかり投資して技術開発することでベストミックスを図る必要があります。また、電球をLED(エルイーディー)に全てかえるだけで、白熱電球の75%から90%の節電になります。LED照明の助成金をだすことなどをして推進していくことを検討するべきであると思います。