~続き~
同級生Yくんが、「感情の起伏が激しいらんぼうもの」ではなく
彼のもつ特性がそういう状況を多々引き起こしてしまっているのではないか。
プロの指導を受けられたら、
自分の心理を理解してくれる人がいるという安心感が得られるだろうし、
自分の感情を制御する練習だってできる。心がずっとずっと軽くなるはず。
でもそれを彼のママに直接
「あなたのお子さん、専門家に相談に行ってみたらどうですか?」なんて言えない![]()
実は私には以前に一度、苦い経験がありました。
Y君が入園する前、2歳児クラスにA君という男の子がいました。
常に笑顔で穏やかな男の子でしたが、お友達と全く関わらない子でした。
どもりもかなりありましたし、人と目を合わせることも、話しかけられることも嫌っていました。
A君のママは、A君の気持ちの変化にとても敏感で
敏感というより少し過敏な位に反応していました。
「あ、今はちょっとそっとしておいてください」
A君に声をかけたり近づく大人たちを阻止する姿を度々見かけました。
同じく過敏な子供を持つ母として、私は彼女の気持ちがとてもわかる気がしました。
A君のママとはおうちが近かったこともあり、よくお話をする仲になれたので
私は娘が療育に通っていることや、そこに至るまでの過程など
他の人には少し言いづらい話を、
様子を見ながら小出しに話してみることにしました。
彼女ならわかってくれるような気がしたのと、
もし、彼女も同じように悩んでいるとしたら
色んな気持ちを話してくれるかもと期待したのです。
私たち夫婦の場合は、
第三者から専門的なアドバイスを受けられるようになったことが
言葉に表せないほど心の救いになったので、そういうサポートがある事を
伝えられたらというおせっかい心もありました。
けれど、彼女からA君の悩みについては殆ど聞くことはありませんでした。
一度だけ「A君も相談に行った方がいいとは思うのだけど…」とこぼした事以外は。
「そういった話しはしたくない」というサインだと、早い段階で私も理解しました。
1年間在園した後、A君ご家族はお仕事の関係で転園していきました。
今でもこの時のことを時々思い出します。
A君の状況について相談が必要だと本当は思っている事。
でも行けない。
その話もしたくない。
この気持ちも、痛いくらい、泣きたい位わかる気がするのです。
私も最初の相談に行くのには本当に勇気がいりました。
でも、子供のことを本当に思うのであれば、
もし療育が必要かもと、ほんの少しでも思う点があるのであれば
相談だけでも行くべきだと思うのです。
子供にとっては、理解者が増え、居場所が増える。良い事だらけです。
「この子は手厚いケアが必要な子」アンテナを張っていても、
とてもセンシティブな事柄なだけに、その先に話を進める事が難しい。
でもY君の場合は上手くいったんです。
その話はまた次に。
