夏目漱石の前期三部作を十数年ぶりに再読しました。



私はこの三作ならば「三四郎」が一番好きです。


この作品は、一見、非常に真面目な青年・三四郎の初恋小説ともとれますが、他方で、女性が学問を究めたり社会へ進出したりすることがまだ難しい時代に限りある自由な時間を謳歌する女性・美禰子(みねこ)の生き様が描かれている小説であるとも捉えられるなあと思います。


彼女は非常に現代的な考え方の持ち主ではありますが、この時代にはまだ古い枠組みが残っており容易に抗うことができない風潮があったのであろうとこの小説を読んで改めて感じました。そんな葛藤が彼女が発する「stray sheep(迷える羊)」という言葉からも、三四郎たちへの接し方からも窺えるように感じます。
(美禰子のモデルは女性解放運動家の平塚らいてうだとも言われています)



↑美禰子と三四郎が出会った池 (通称:三四郎池)

コロナ禍になる前にモデルとなった池を観にいったときの写真です。風流でした。また行きたいな☺︎