続・付き人奮闘記 85 | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

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2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

なるべく新しいスタッフとも今のうちに話して置きたい。

仕事になるとほぼ会わなくなったりするから、特にマネージャーとは情報交換をして置きたい。

 

でもそっちの方に時間をかけ過ぎて、隼人達3人を置いてきぼりにしてしまった。

 

相葉くんが俺の傍に来て、

 

「後は俺が話すから、大ちゃんは隼人達の所へ行ってあげて」

 

「え?」

 

「翼が隼人から頼まれたみたいで俺に相談に来た。

 慣れない中にいつまでも3人だけにさせとくのは可哀想だよ。

 大ちゃんが行ってあげないと……」

 

「だけど3人とも子供じゃないんだし……」

 

「そうだけど、隼人にしたら久しぶりの公の場でしょう。

 心細いんだと思う。他の二人もそんなにガンガン行くタイプではなさそうだしね」

 

 

3人の様子はずっと気になってはいた。

見る限りそんなに食事にも手を付けていないみたいだし、もしかしたらこういうパーティーは慣れていないのかもしれない。俺も苦手だから3人の気持ちはわかる。

 

 

そろそろ限界かなぁ。

 

相葉くんに後を託して潤の所に行く。

 

「お開きは何時頃の予定?」

 

「特に決めてはいないけど、先に出ても良いよ。

 明らかに居づらそうだもんな。後は智に任せるよ」

 

「良いの?」

 

「ああ。実は言い忘れていたけど田中は少し人見知りな所がある。

 それが原因で前のマネージャーとも揉めて仕事もうまく行かなくなった。

 圭吾に次いでのプロジェクト候補になったのもそれが理由だ」

 

田中は何度か付いているから性格はある程度把握はしている。

人見知りと言うよりは慣れるのに少し時間がかかるだけ。

それを通りこせば明るくて真面目な青年だ。

 

 

「本当は顔合わせもこんなに豪華にしなくても良いと思ったんだけど、

 最初くらいスタッフやタレントを労うつもりで開いたんだけど、苦手な奴もいるよな。

 もう挨拶も終わっているし特に話すこともないから4人で食事でもして帰れば良いよ。

 恐らく3人とも殆ど手を付けていない筈だから」

 

「わかった。じゃあ、そうさせて貰うよ」

 

俺も早く3人と話したいのが本音なので、潤がそう言ってくれたのは有難い。

 

一応、慎吾と翼にだけ声をかけて先に帰ることを伝える。

 

 

そして漸く隼人達の所へ向かう。

 

近くに置いてあるテーブルには飲み物とお皿におかずが少し。

 

俺が近づくと隼人が安心した顔で迎えてくれる。

 

 

「大野さん」

 

「ごめんな。さあ帰ろう」

 

「え?」

 

「腹減ってるんじゃないのか。4人で何処かで食べよう」

 

「でも良いの?」

 

「もう用事は終わり。ほったらかしにしてゴメンな」

 

「いえ、とんでもないです。俺達は大丈夫ですから最後までいます」

 

しっかり者の菊池が口を出すけど、もう隼人が限界なのは顔を見ればわかる。

隼人が顔に出やすいのか、それとも他の二人がまだ本音を見せていないのか、

田中も限界そうな感じだけど絶対に言わない。

 

 

「二人には言っておくけど、俺に遠慮はいらないよ。

 今までどんなマネージャーが付いて、どんなことを言われてきたのかしらないけど、

 俺には本音で接して欲しい」

 

「な、だから言ったじゃん」

 

「さあ、どうするの?帰るの?帰らないの?」

 

「帰る!」

 

「隼人には聞いてない。お前は顔に書いてあるからすぐわかる」

 

「え~!」

 

隼人のオーバーなリアクションに二人の緊張も少し解ける。

 

「帰りたいです。こう言う所は余り慣れていないので落ち着かないです」

「僕も帰って良いなら帰りたいです」

 

 

二人の本音が聞けたので、3人を連れて部屋を出る。

 

「挨拶しなくて良いんですか?」

 

「潤には言ってあるから大丈夫。まだ宴が続いているからこういう場合はこっそり出て行く方が

 騒ぎにならない。既に圭吾もいなかったしね」

 

「圭吾も帰ったの?部屋から出て行くのは見えたけど……」

 

「何処かで時間を潰して終わる頃にちゃっかり戻るか、既に帰っているかどちらかだろう。

 あいつもこういうパーティーは苦手だから」

 

本当に帰ったのだとしたら一番最後に来て、最初に帰ったと言う事になる。

やっぱりあいつは肝が据わってるなぁ。

 

 

専ら俺と隼人が喋っているのを二人が黙って聞いている。

 

「さて、何処へ行く?俺もずっと挨拶回りしていたから余り食べてないんだよ。

 俺の行きつけの店でも良いけど、疲れているなら隼人の家にするか?」

 

「え?俺の家で良いの?」

 

「そんなに散らかってなかったよな。ご飯はデリバリーにして、簡単なおつまみは俺が作るよ」

 

「良いんですか?そんなことして貰って」

 

「大野さんの料理うまいよ」

 

「嫌、そういうことではなくて……」

 

 

隼人にとっては普通の事だけど、二人は驚くだろうな。

 

「俺を知ってもらう意味でもその方が良いかもしれないね。

 それに部屋の方がゆっくり話せるだろう」

 

菊池はまだ戸惑った表情をしているけど、田中は明らかにホッとしているのがわかった。

店よりは家の方が落ち着く。

 

それから4人でタクシーで隼人の家に向かう。

タクシーの中からスマホのアプリで食べ物を注文する。

つくづく便利な時代だと思う。

 

隼人の家に着いて間もなくして料理も届いた。

 

さあ改めて宴会の始まりだ。