続・付き人奮闘記 66 | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

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2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

正式に翼のドラマ出演が決まった。

 

撮影まではまだ1年近くあるので、俺はその間に隼人と圭吾に付いて貰う人と軽い打ち合わせを行った。翼の撮影期間中は俺も翼に付きっ切りになるつもりだ。

翼にとっては久しぶりの芝居で初の時代劇。

毎日不安の中で撮影をやる事になるから、なるべく俺が傍にいてあげたい。

だから掛け持ちでやるのはやめて翼一本に絞る事にした。

 

その間に隼人と圭吾に付いて貰う人を探すのが大変だった。

圭吾は割と誰でも大丈夫だけど、隼人はマネージャー嫌いの所があるから心を許した人でないとダメだ。俺の他にもう一人いるのだけど彼は忙しくて無理そうなので、他の人に今から少しずつ付いて慣れて貰う事にした。

 

何人かお試しで付いて貰ったけど隼人が気に入らないらしい。

 

「そんな事を言っていたら誰も付いてくれなくなるよ」

 

「良いよ。一人で通うから」

 

隼人も免許は持っているけど、まだ車通勤を許可できる年齢ではない。

それにマネージャーは運転だけが仕事ではない。

むしろ現場でのサポートの方が大事だ。

 

圭吾が入ってから隼人のペースが乱されている。

二人で仕事をしている訳ではないから隼人が勝手にライバル意識を燃やしているだけ。

芸歴でも年齢でも遥かに隼人の方が上なのだけど、圭吾が翼を尊敬しているのが

気に入らないようだ。翼を巡っての二人の取り合い……いや、そう思っているのは隼人だけだ。

 

それと隼人は20代後半になっても未だに仕事の方向性がはっきりしない。

今のところタレントと一括りにされている状態だけど、

だからと言ってバラエティーがうまい訳でもない。

歌、芝居、バラエティー……。割と何でもこなすけど飛びぬけた物がない。

 

圭吾も同じ状態だけど、向こうはまだ若い。

色々な事をやってみるのが大事な時期だ。

それと圭吾は翼繋がりでファッション系の仕事が少しずつ入ってきている。

おしゃれだと言うのが知れ渡ってきたみたいで、少しずつファッション雑誌の仕事も来ている。

でも隼人はおしゃれには興味がないし、そもそもそう言う仕事は余り好きではない。

 

 

それと問題はタレントだけではない。

今は圧倒的にマネージャーが不足している。

やりたいと思う人はいない訳ではないけど、単純にタレントと一緒に仕事が出来ると言う安易な動機で入ってくるから続かない。

 

マネージャーの仕事は雑用係が多い。

中には我儘なタレントもいるから彼らの要求が通らなかったり、

ほんの些細な事で怒られる事も多い。

 

俺は潤の付き人から始めた。

潤の事はよく知っていたし拾って貰ったという恩もあったから辛いとは思わなかった。

和馬を亡くしてボロボロになっていた俺には、仕事が出来るだけで有難かった。

だから辞めたいと思ったことはない。

 

だけど長く潤の付き人だけをやって来た俺が初めてマネージャーと言う立場になって、

新しく翼を担当した時は大変だった。

だけど担当を外れた事はあるけど、自分から辞めたいと思ったり

タレントを代えて欲しいと言った事はない。

そして頑張ってきた結果、今の翼がいる。

 

 

でも最近のマネージャーは簡単に代えて欲しいと言う。

そして事務所もマネージャー不足だから、マネージャーの意に添うようにする。

隼人はその犠牲になった一人だと言っても良いだろう。

デビューして約5年くらいの間に可なりのマネージャーが代わっている。

なにが原因だったのかはっきりしたことはわからないけど、隼人はそれが原因で

マネージャー嫌いになった。

 

そんな隼人に新しいマネージャーを付かせても馴染めないのはわかっているけど仕方ない。

だからマネージャーには最低限必要な事だけを伝える。

隼人も心を許せない相手にそうそう注文もしないだろうから、隼人がよく現場に持って行っている物や、このテレビ局の近くのこの店の蕎麦が好きだとか、そう言う情報を伝える。

 

なんだかめんどくさそうにメモを取る。

そんな顔をするなら俺がやると言いそうになるけど、この期間は翼に付くんだ。

暫くは隼人も我慢の時期だけど、不安で仕方がない。

 

 

 

そうして翼の撮影まで1か月が過ぎた頃、

 

「新しいマネージャーだよ。隼人に付いてくれるから」

 

潤にそう言われて相手を見て思わず叫んだ。

 

 

「相葉くん!なんで……」

 

「ちょっと年取ったマネージャーだけどよろしくね」

 

あの魅力的な笑顔で笑っているけど、俺は頭が混乱していた。