地獄の学校【社会人編】 47(最終話) | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

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2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

その夜はヒロの部屋で父子3人で話をした。

 

母とは俺がここに入った直後に離婚したそうだ。

 

俺も年を取って来たから色々と受け入れられる事もあるのかもしれない。

もっと早く知りたかったこともたくさんあるけど、今だから素直に聞けるのかとも思う。

 

しかし雅也さんも松兄も何も知らない振りをして俺と接していたのだからたいした役者だ。

 

 

「智、これからが本当のスタートだぞ。雅也くんと松岡くんを支えてやれよ」

 

「うん。これからは俺達が頑張る」

 

 

親父達が頑張ってきた思いを、これからは俺やカメくん達が雅也さんと松兄を支えて

早く形にしていきたい。

 

 

この10年間、学校と仕事をやりながら、この日に向けて準備してきたこともある。

今まで教員資格を持っているのは雅也さんと真也さんと直也さんの3人だけだったけど、

新たにカメくんと達也くんが取り、そして他にも工業高校で教えていた先生を雇う事になった。

 

このメンバーが新しい学校で教えることになる。

 

そして残りのメンバーは仕事の方の係になる。

仕事の指示をしながら俺達も実際に設計図を作って行く。

カメくんと達也くんが学校の方にまわったので、俺はヒロと組んでやる事が多い。

 

この10年以上で積み上げてきた実力。

この日の為に交流をしてきた会社や、岡田とうちの親父の口利きで得た仕事。

 

いつ俺達が夢見ていた物が作れるのかわからないまま、ひたすら他の設計図を描いて

練習をしてきた。そういうのがこれからは本物になっていく。

 

 

その為にまずは学校と会社の引っ越し。

 

とは言っても同じ敷地内。寮に関しては殆ど同じ。

雅也さんの部屋も変わらない。

 

学校は寮の後ろに作り、仕事場はその隣。

 

敷地が可なり大きいので以前は結構無駄なものも多かった。

だから最初の頃に雅也さんがいたずらしたり、色々と遊んでいた。

今は外にアスレチックを置いたり、少し運動できる場も設けた。

 

 

それと学校の方で大きな変化は3年制から5年制になった。

今までも「高等専門学校」とはなっていたけど普通の高専とは違う。

 

何が違うかと言えば工業全般も学ぶけど、主にやるのはいずれ作る事になる

子供達の為の夢のテーマパーク。

今までにないような遊びだけでなくて、学びも含まれたテーマパーク。

 

あちこち行かなくても一つの場所で、遊園地から動物園・水族館、

様々なものが楽しめる物凄い規模のテーマパークだ。

 

 

「改めて考えてみると凄い話だよね」

 

「それが一歩実現に近づいてんだよ」

 

「そうだね、ここからが大事だね」

 

 

 

 

学校と仕事を含めた全体のトップが雅也さんと松兄。

そして学校の方のトップが真也さんと直也さん。

仕事の方のトップが岡田と俺という配置になった。

 

 

今までと変わったのは仕事のトップが正式に決まった事だ。

今までは学校の方に重点を置いていたし、雅也さんと松兄が両方を見ていたので特に決めてはいなかった。でも今度は寮で仕事をする訳ではなくて、ちゃんと仕事場がある。

そこで全員でやるのでどうしても責任者は必要と言う事で、経験値から俺と岡田になった。

 

同じく経験の長いニノたち4人も手伝ってくれる。

 

みんなどれだけこの日を待ちわびて来たことか……。

 

そして創設者には雅也さんのお父さんを筆頭に、松兄、岡田、そして俺達の

それぞれの親の名前が並ぶ。

 

 

 

4月1日

 

新しくなって最初の入学式と入社式が行われた。

今日だけは合同で式が行われ、岡田と俺の親父達がこの学校を作った経緯を話す。

 

初めてみる親父のスーツ姿。

壇上で堂々と話している姿。

 

まるで別人を見ているようだった。

 

検察官だと聞いた時は信じられない気持ちが強かったけど、

今、こうやって見ていると検事なんだなってなんとなくわかる気がする。

 

 

「なんだか親父じゃないみたい」

 

横にいたヒロがポツンと言う。

少し寂しさが混ざっているかな。

 

 

「大丈夫だよ。親父は親父、何も変わってないよ。

 今朝、俺の顔見てヒロって呼んでたよ(笑)」

 

「ふふ、ボケるには早いよ」

 

「顔が最近似て来たらしい」

 

「でも不思議だね。親子3人でこんな所にいるなんて」

 

 

ヒロの言葉が全てを表していた。

 

 

ここへ来て18年くらいになる。

色々な事があったけど、こんな場面は思い浮かばなかったな。

 

でも、これがゴールではない。

 

 

ここからがこの施設にとっても、俺達親子にとっても本当のスタートだ。

 

 

 

そして5年後。

 

テーマパークの第1弾の設計が出来上がった。

 

昔、雅也さん達の夢の為にと、みんなで頑張ってきたことが夢ではなくなった。

 

 

「なんとか生きている間に出来たな。ここまで見届ければ心配はない」

 

「何を言ってんだよ。まだまだこれからだろう。お前がいないと困るんだよ」

 

「大丈夫だよ。松岡、みんな、俺の夢に付きあってくれて本当にありがとう」

 

 

 

雅也さんは長年の疲れから病になり、着工の日にこの世を去った。

 

長い長い苦労から解放されたような穏やかな笑顔だった。

 

ありがとう、雅也さん。

雅也さんと出会えて良かった。楽しい人生だったよ。

 

 

テーマパークの全ての完成には何年もかかった。

それを待ちきれずに仲間たちが次々と力尽きて行った。

 

とうとう全てが完成した日。

年老いた俺の隣には、同じように年を取って来たカメくんがいた。

 

「出来たよ。雅兄さん、みんな……」

 

涙ながらに報告するカメくんの手を繋いだ。

 

 

雲一つない青空の下、

みんなの歓声が聞こえるような気がした。

 

 

 

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

最後に……。

 

「地獄の学校」と「社会人編」。

最初の方で結構遊び過ぎて非現実的なことばかりを書いたので、

それを収集していくのが大変でした。ところどころ話の辻褄が合わないかもしれないけど

ご了承ください。有り得ないことを書くのも面白いけどやっぱり難しい。

 

最後は少し駆け足になりましたが、今回も最後までありがとうございました。

 

 

さて、次回ですが少しお休みして、来週から出せたら良いなと思っています。

よろしくお願いします。

当分は「付き人」だけの1日1度の投稿になりますが、こっちも可なりギリギリの状態なので、

もしかしたら休むかもしれませんがご了承ください。

 

毎回、同じことを言っている気がするけど、まあマイペースでこれからもよろしくです!