地獄の学校【社会人編】 34 | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

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2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

受験シーズンが始まった。

 

今までも受験はあったけど、さすがにこの時期は一斉に受験に突入するので、周りの雰囲気も違って感じる。受験当日は俺達も手伝う。受付をやったり、試験問題を配ったり初めての事は結構楽しい。この受験も学校ではやらない。あくまでも隠しに隠して、入学の時に一気にオープンと言った感じだ。

 

実は学校の方も少しリフォームをしている。

新しい気持ちで4月の第1期生を迎えようというのだろう。

 

 

「さて今年は何人入るかな」

 

普通の学校と違ってそんなに多くは取らないし、入らない。

入試の時の面接でだいたいの様子がお互いにわかるから、入試から合格発表まで2日間開けて考える時間を与えてその間に辞退者も結構出る。

たださすがに4月入学だけあって受験数は過去最高だったそうだ。

その中から合格者は一応30人。

これでも可なり多めに取っている。

これから公立の学校が発表になれば、また辞退者が出てくる。

 

 

「最終的にはどのくらいになる予想?」

 

雅也さんは出かけているので、松兄と直也さんと雑談中。

 

「まあ20人~25人くらいかな」

 

「10人も減らないでしょう」

 

「そうは思うけど結構併願者がいるんだな。こういうのは今まではなかったから、

 ちょっと読めないなぁ」

 

「そうか、秋入学の時は併願とかなかったんだ」

 

「そう。そう言う意味では秋の方が楽だな」

 

 

「そうして入ったら入ったで1年間で数人がいなくなる」

 

通常の退学ではなく、ある日突然いなくなるのだ。

最初は学校側が何かしているのかと思ったけど、そうではなかった。

初日から自分が思った学校と違うと思えば簡単に辞めてしまう。

 

 

結局、今年の入学者は26人。

「過去最高」だと言うけど、俺にはこれが多いのか少ないのかがわからない。

 

 

 

うちの学校は全員が揃う事が少ない。

学校と寮が一緒になっているし、すべて個室だから自分の部屋に入ってしまえば全くの一人。

せいぜい食事の時やお風呂でみんなと顔を合わすくらいだ。

 

一人が好きな人には良いだろうけど、凄く孤独に感じる事もある。

そのフォローも俺達の仕事になる。

 

 

「4月からは智くんは暫く学校の方を見て欲しい。

 岡田、智くん、和也、達也の4人は生徒のフォローにまわって貰う」

 

「俺は部屋は移るんですか?」

 

「いや、ここで良いよ。積極的に動くのは和也と達也。

 いざという時に岡田と智くんが行ってくれれば良い」

 

「二人の方が生徒と年齢が近いからだよ」

 

「1歳違いじゃん。それに俺と智くんは同期だよ」

 

「それは関係ない。それに課題が進めば嫌でも一緒にいるようになるんだ。

 今は少し離れていた方が良いんだよ」

 

「嫌になんかならないもん」

 

「それはお前の考えだろう。智くんはどう思うかわからないだろう」

 

「すぐそういう意地悪を言う」

 

ここの兄弟のやりとりは面白い。

 

 

これに達也くんが加わるともっとおかしな方向へ行く。

 

「ねえ、来年は女の子入れようよ」

 

お茶を飲んでいた数人が吹き出しそうになった。

 

「こんな個室ばかりだったら、女の子が入って来たって交流は持てないぞ」

 

「交流の場は作れば良いじゃん。週に何回か合同授業を入れるとか……」

 

「だったら先生も女の先生を探して来ないとダメだぞ」

 

 

「最初から男子だけというのは決めてたの?」

 

岡田が聞く。

 

「ああ、共学という考えはなかったな。第一、俺と松岡で考えた事だぞ。

 女性の入る余地なんてないよ」

 

二人の顔を改めて見ながら「なるほど、確かに」と岡田が呟いて大爆笑になった。

 

確かに共学と言うイメージはわかないなぁ。

ここは男子だけで良かったのだと思う。

 

 

「さあ休憩は終わりだ。それぞれ持ち場に戻る」

 

 

早く4月になって欲しいな。

新入生が来ないとなんだかピリッとしない。

 

学校の方は今は春休み。

何人か外泊届が出ている。

 

仕事の方は休みは当人の自由。

仕事の進み具合によって取っている。

 

滑り出しの良かったニノのペア。

相変わらず順調のようだ。

 

「この二人は次はゲームを予定している」

 

「ゲームですか?凄い、専門分野じゃないですか?」

 

「だからこそ、それぞれの個性が出る。

 もしかしたら、ここが試練になるかもしれないなぁ」

 

 

 

得意分野が試練になる?

よくわからないでいたら直也さんが教えてくれた。

 

「智くんと和也は得意分野が違う。だからうまく行っていると言うのもある。

 好きな事だとその人の拘りが出るだろう。それが強ければ強いほどぶつかる可能性が強い。

 どっちかが一歩引いて客観的に見られれば問題はないけどね」

 

「そうか。必ずしも共通点が多ければ良いと言う訳ではないんですね」

 

「だけど共通点がなくてもペアは組めない。結構難しいよ」

 

「直也さんがもしペアを組むとしたら誰とやりたいですか?」

 

「へえ、興味があるなぁ」

 

雅也さん達も話に入って来た。

 

 

「俺は岡田か達也ですね」

 

「どうして?」

 

「なんだか得体の知れない面白さがある。

 予想外のボールが飛んでくる感じがするんです」

 

 

なるほどなぁ。

ちょっと分かるような気がした。