地獄の学校【社会人編】 27 | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

思い返せばいきなり始まった俺達の助手生活だった。

 

最初は課題を巡って雅也さんを怒らせて雅也さんの監視下に置かれて、

あの部屋で生活する事から始まった。

 

ただ後から思うと監視下と言うのは言葉だけで、弟のカメくんを助手として育てたかったのではないかと思う。でもペアで組んでいるから俺がいる。

雅也さんにも松兄と言う相棒がいるので、ふたりをそれぞれの助手に考えたのだと思う。

俺を選んだのはカメくんと一緒にいたと言うのもあるけど、あの事故の被害者というのも全く関係ないとは言えないと思う。

 

 

助手生活は俺自身は最初はそんなに難しく考えていなかった。

だけどあの部屋で毎日防犯カメラを見つめながら生活をしていると、

段々と助手の意味を考えるようになった。たまにニノを始めとした4人の姿が映る事もある。

なんだか人の生活を覗き見しているような嫌な気分にもなった。

 

そんな少し悩んでいる時に、真也さんと初めてきちんと話が出来て少しホッとした。

あの兄弟の中では唯一他の仕事をしていて、自分の気持ちが定まるまで時間がかかったと言っていた。それでも今は学校の方を任されるまで雅也さんに信頼されている。

 

 

雅也さんは割と表情が出やすい人で、機嫌がいい時、悪い時が結構わかりやすい。

それだけに誰を信用して、誰を危うんでいるかというのがよくわかる。

カメくんに対して厳しいと思ったのもそのせいだろう。嫌いではないけど危うさを感じている。

そしてそれは直也さんに対してもそうで、真也さんほど信用はしていない。

だから命令は常に真也さんにして、二人で学校の方を担当させている。

 

カメくんを助手にしようと思ったのは、同じ部屋で一緒に生活してみて

彼の持つ能力に惹かれたのは勿論だけど、真の性格を知ったからだと思う。

カメくんは本来は人が好きで凄く優しい人。

それを感じたから本格的に助手として仕事を手伝わせようと思ったのだと思う。

 

でもカメくんは俺と一緒にやることしか望んでいなかった。

俺が助手でなくて本来の仕事をやりたいのなら、助手の仕事は来年卒業する達也くんにやらせて、カメくんは俺と一緒に仕事をしたいと言ってくれた。

 

その気持ちは嬉しかったけど、雅也さんの手前どうしたら良いのかと思っていたら、

「無理して人に合わせなくて良い。自分は自分で良いんだよ」と、真也さんが言ってくれた。

その言葉で俺の肩の荷が降りて、自分の将来をしっかりと考えるようになった。

 

 

その後も何かあるとLINEで真也さんに相談していた。

 

ニノ達4人の付き合い方も相談した。

毎日、防犯カメラを見たり、色々な情報を見聞きすると俺はもう生徒でも社員でもない。

こっち側の人間になったんだと感じたから暫く会うのを辞めようと思った。

 

これは自分で決めた。ただ真也さんに、

「一方的に切るような事はしないで。ちゃんとメールでも良いから説明してあげてね。

 理解するかしないかは別として、大野くんの考えは伝えてあげて。

 俺も同じような経験をして人を傷つけた事があるから」と、アドバイスを貰った。

 

だから4人にメールをした。

 

後からニノを通して届いた手紙は怖くてまだ読んでいない。

 

 

でも、時々防犯カメラに意味もないのに4人がそれぞれに映る事が増えた。

翔くんはまだ学校の方にいるから映りやすい。食堂にいれば必ず映る。

時々食事時でもないのにやってきて、ゆっくりコーヒーを飲んで帰る。

 

他の3人は社会人になったので、そんなに防犯カメラが置いてあるところはない。

唯一、あるのは学校の屋上。その屋上の奥に社会人の部屋があるので屋上まで来れば

防犯カメラに映る。そこに時々3人がやってくる。

 

今日は潤が来た。

 

わざと防犯カメラの目の前で煙草を取り出すから焦った。

 

「あれ、禁煙ですよね」

 

「そうだけど、もう少し見てみな」

 

雅也さんに言われてもう少し見ていたら、煙草をそのまま食べていた。

 

「あれは煙草の形をしたチョコだね」

 

「すみません」

 

「なんで謝るの。別に屋上で何を食べようと自由だよ。

 それにしても、みんな智くんが好きだね」

 

 

 

最近は雅也さんも智くんと呼んでくれる。

それが嬉しい。真也さんもそう呼んでくれる。

唯一人「大野くん」のままなのが直也さん。

 

みんなが智くんと呼んでくれるだけに何だか壁を感じる。

 

俺の事を睨み付けてくることもある。

 

 

俺、何かしたかな?

 

少し不気味な感じはしていた。