続・付き人奮闘記 20 | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

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2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

「隼人!」

 

「……ん」

 

意識はありそうだ。

ベッドに運ぶのは無理なので、毛布を持ってきてかける。

 

 

その間に俺は隼人の事を頼んで置いた芸人さんにLINEをする。

 

「隼人がお世話になりました。ありがとうございました。今日帰ってきました。

 ところで隼人に何か変わった事はありませんでしたか?」

 

「気が付かなかったけど、撮影も順調だったし…。何かあった?」

 

 

やっぱりわからないか。お礼を言ってLINEを切る。

 

単なる疲れなのかな。

だけど翼の家まで来ていたのは、明らかに俺を探しに来たのだと思う。

 

熱もなさそうだし暫くそのまま寝かせていたら、潤からLINEが入った。

 

「隼人、どう?」

 

「まだ寝てる。何かわかった?」

 

「これが理由かはわからないけど、最近マネージャーと揉めていたと言うのは聞いた」

 

「理由は?」

 

「わからないけど、さっき彼から隼人のマネージャーはもうやりたくないと言ってきた。

 マネージャーが頻繁に変わっている理由がわかったって」

 

「マネージャーの交代って事務所の事情じゃなかったの?」

 

「俺はそう聞いてたけど。じゃあ何かあったら連絡くれ」

 

 

その後、隼人は起きたけど何も話してはくれなかった。

「ちょっと眠たかっただけ」だと言い、翼の家に来たのも

「もうそろそろ帰る頃だと思って翼くんに会いに行った」と言うだけ。

 

マネージャーと揉めたと言うのも、「そんな事はない」と言っていた。

翌日からはまた俺が隼人に付いたので、隼人も普段と変わらなかった。

 

今の仕事がイヤなのかと思ったけど、見ている限り一生懸命やっている。

やっぱり隼人の言う通りなのかなと思っていた時に、あるマネージャーに言われた。

 

 

「大野さん、少しタレントに甘過ぎませんか?」

 

うちのプロジェクトの人間ではないけど、まだ20代の若いマネージャー。

 

「俺はそうは思わないけど」

 

「藤田翼にしても大野さんに心酔しているし、隼人も大野さんが甘やかすから我儘になる。

 タレントは商品ですよ。我々の言う通りにやって貰わないと困るんです。

 だけどタレントに寄り添うとか甘い事を言っている人がいると、それが崩れるんですよ」

 

そう言う事か。この間の隼人がマネージャーと揉めたと言うのも、

俺が関係していたのかもしれない。

 

それにしても「タレントは商品」だなんて、上の人間が言うなら仕方ないかと思うけど、

マネージャーがそんな事を言うんだ。そっちの方が驚きだった。

 

「俺はタレントが商品だとは思っていないよ。

 俺も歌手の経験があるからね、この仕事がどんなに大変かはわかっている。

 だから寄り添えるだけ寄り添って行きたいと思っている。

 今更、このやり方を変える気はないよ」

 

「だから周りのマネージャーたちが迷惑してるんですよ」

 

「そんなのは俺には関係ない。俺は長年これでやって来たし、

 こういうやり方しか出来ない。だけど俺はなにを言われようと構わないけど、

 それをタレントにぶつけるような事はしないでくれるかな」

 

「それがいつまで通りますかね。今、上の方にも言ってるのでマネージャーを

 やれなくなるかもしれませんよ」

 

これ以上関わるのもバカバカしいと思ったので、

「まあ、好きなようにして良いよ」と言って帰ってきた。

 

 

事務所をクビになったら、翼と隼人を連れて独立しても良い。

人脈も結構出来たから、手伝ってくれる人も少しはいるだろう。

第一クビになったらプロジェクトはどうなるのだろう。

 

とりあえず潤の耳には入れておく。

 

「迷惑かけるかも知れないけど……」

 

「そんな事は翼の時から言われてるよ。でも智のお陰で立ち直ったのは確かだ。

 俺の付き人何年やってきたんだよ。若手に言われたくらいでおたつくな」

 

「別におたついてはいないけど、隼人のこの間の落ち込みがそれだとしたら

 申し訳ないと思って」

 

「大丈夫だよ。翼と隼人はお前を信じている。これからも智は智のやり方で良いからな。

 急に突き放すような事をしたら、あいつらが余計に傷つく」

 

「そんなことしないよ」

 

「だったら、ゴタゴタ言わない」

 

「はい、はい」

 

「はいは1回」

 

そう言って笑った。長い付き合いの潤に言われると元気が出る。

 

その後、潤に聞いたのだろう、他の3人からもLINEが来た。

 

「智くんは智くんのまま、今まで通りで良いよ。若手に文句は言わせない」

「翼と隼人は大ちゃんを信じているから、大ちゃんも二人を信じれば大丈夫」

 

優しい二人の言葉の後にひねくれ者がひとり(笑)

 

「クビになったら拾ってやるよ」

 

いやいや、お前に拾って貰ってもなぁ。

 

でも4人の思いはよくわかった。

 

一度、翼と隼人にはこの事は話した方が良いかな。

二人には隠し事はしたくないし、きっとこれからも別のマネージャーに付いたら嫌な思いを

するかもしれない。その時の為にも知っておいて欲しい。

 

こういうマネージャーは特殊だとは思う。もっとドライな関係を求める人もいるだろう。

 

 

だけど、俺はこれからもこのやり方で行く。