続・付き人奮闘記 7 | chihiroの気まぐれブログ・これからも嵐と共に

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2021年1月。嵐さんの休業を機に、妄想小説を書き始めました。
主役は智くんで、メンバーも誰かしら登場します。ラブ系は苦手なので書けませんが、興味のある方はお立ち寄りください。

 

 

 

考え込んでいる俺の様子に翼が気が付いた。

 

「智さんどうしたの?」

 

「うん?」

 

「悩み事?」

 

翼の顔を見ていて思った。

隼人の事を翼に話したらまずいかな。同じプロジェクトになるのだから良いよな。

若い人同士の方がわかるかもしれない。

 

一応、潤にLINEで聞いてみる。

 

「隼人の事、翼に話しても良い?」

 

既読にはなったけど、なかなか返事がこない。

考えているのかな?

 

「わかった。智に任せる」

 

暫くしてそう言う返事がきた。

 

 

話しても大丈夫かな。自分から提案しておいていざとなると迷ったけど、

もし翼の様子が不機嫌になるようなら辞めよう。

翼も親の事で苦しんでいる時だから尚更だ。

 

「ねえ翼、新人くんの話をしても良い?」

 

「え?決まったの?」

 

意外と明るい声。もしかして待ってた?

 

「うん、まだ確定じゃないんだ。色々と問題があってね」

 

「誰なの?」

 

「俺が翼の担当を外れていた時期に付いていた子、覚えてる?」

 

「隼人くん?」

 

俺が頷くと、

 

「隼人くんのプロジェクトが出来るの?隼人くん助かるの?

 この仕事、続けられるの?」

 

「翼、隼人の状況知ってるの?」

 

「仲間内で色々な噂は聞いてた。もう終わりだって言っている人もいた。

 俺の時と同じ。俺も一度終わった人間だから……。

 もし隼人くんを助けられるなら助けてあげて」

 

「今回は俺達5人の意見も割れていて俺も迷ってる。

 一人で二人を担当するのは難しい。中途半端になってしまったら、

 翼にも隼人にも申し訳ないから」

 

「俺は……もう大丈夫」

 

そう言うと思った。隼人に対する反応を見た時からそんな予感はしていた。

 

「翼、勘違いしないで。翼に話したのは我慢して欲しいからじゃないからね。

 若いタレント同士、何か知っているかと思って話しただけだから」

 

「だけど放っておけないんでしょ。だから悩んでいるんでしょう。

 俺の時は5人が一致団結してくれたから復帰できた。

 今回は5人の意見が割れているのはどうして?隼人くんに何があったの?」

 

「親が仕事に口出ししているらしい。俺の今までの経験上、子供の仕事に親が

 口出ししてくると可なり厄介な事になる。おまけに隼人も親と同調しているらしいんだ。

 二人が躊躇しているのもそれが大きいんだ」

 

「親か……」

 

そう言って翼が黙り込んだ。親では翼も苦労しているからね。

こんな話、しない方が良かったかな。

 

「隼人くんって幾つになった?」

 

「21歳かな」

 

「デビューして何年?」

 

「デビューが17だったから4年だね」

 

デビュー4年でこの状況はこの世界では余り良いとは言えない。

5年になるとそれこそ危機になる。

 

「そうか、本当にギリギリなんだね。親とは一緒に住んでるの?」

 

「うん」

 

「俺の意見、言って良い?」

 

「良いよ」

 

「ぜひプロジェクトをやってほしい。それでなるべく智さんがバックアップして欲しいんだ。

 最初に関わったのは智さんだし、それに若いマネージャーよりはベテランの方が

 今の隼人くんには良いような気がするんだ。

 それと一番大事なことは、親とは別居することだろうね。

 俺なんかが生意気言ったかもしれないけど……」

 

 

翼の話を聞きながら、しっかりしたなと思う反面、無理しているなとも思う。

 

翼も両親が離婚したばかりで辛い筈なのに、隼人の為にここまで考えてくれた。

 

俺も隼人の復帰への第一歩は親から独立する事だと思っている。

その為には親元を離れることが一番大事。

 

もう20歳を過ぎた。一人暮らしをしても大丈夫だろう。

 

 

 

2日後にまた5人で会った。

その時に翼の意見を伝えた。

それと同時に翼の両親が離婚したことも……。

 

「離婚って……。大丈夫なのか?」

 

「今日から仕事始めだったけど無事に行ってくれたよ。

 勿論、無理はしているだろうけど、それでも一生懸命隼人を心配してくれた思いを

 無駄にしたくはない。隼人を引き受けよう。俺が精一杯サポートする」

 

「掛け持ちする気か?」

 

「それは大丈夫だ。新しいスタッフも入る。俺の元マネも来てくれることになった。

 智一人に負担はかからないようにする」

 

「何もマネージャーだけがサポートしなくても良いだろう。何の為のプロジェクトだよ。

 翼の時はそれぞれに分担分けみたいになったけど、スタッフ全員がサポートすれば

 良いだろう。翼の時は智に頼り過ぎたと思ってる」

 

 

そう思ってくれれば嬉しい。これはマネージャーの仕事と決めつけられると少しきつかった。

 

翼を一人前の歌手に復帰させて、みんなも少し自信がついたかな。

 

これで隼人を迎える心の準備が出来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の夜から「地獄の学校・社会人編」を出す予定です。

時間がありましたら「地獄の学校」を読んでみてください。

 

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