潤くん語りです。
2024年。
年が明けて間もなく、続々と俺の家にやってくる4人。
「松潤、あけましておめでとう」
一番手は相葉くん。
「早いなぁ。年あけたばかりだよ」
「良いじゃん。なんだか一番乗りしたかったんだ」
「あけましておめでとうございます。あ、相葉くん早いね。
相葉くんもあけましておめでとう」
2番手は翔くん。
相変わらず几帳面。
「あ、相葉くん、誕生日プレゼントもう少し待ってね」
「うん」
さて、残るは二人。
「どっちが先に来るかな」
「一緒かもよ」
「あの二人はわからないからなぁ」
ある意味、嵐がこういう雰囲気のグループになった要因の一つはこの二人の存在だと思う。
ジュニア時代から仲が良かったらしい最年長と最年少(とは言っても俺と同じだけど)。
暫くしてチャイムが鳴る。
「まつじゅん、あけて~」
「え?もう酔ってる?」
「よってないよ~」
絶対に酔ってるじゃん。
「リーダー、酔ってるっぽい。ちょっと見て来ようかな」
「大丈夫だよ。付き添いがいる」
「うん。一緒みたい」
ニノからLINEでも入ったのだろう。
間もなくしてやってきた二人。
「あけましておめでとう!みんな早いね」
「二人一緒に来たの?」
「嫌、下で会った。俺の乗っていたタクシーの前のタクシーに乗ってたみたい。
同じ方向だなって思っていたら、この人だったってこと」
「リーダー飲んでるだろう」
「多分ね。今日…じゃない昨日か、朝から釣りに行っていたらしいから、
帰ってきてから飲んでるだろうね」
「昨日、釣り行ってたの?」
翔くんが驚いて聞くけど、まああり得る話だな。
「そう。釣り納め。釣れたよ。はい、これ」
そう言って俺に差し出した。
おいしそうな魚が綺麗にさしみになっている。
それと煮魚も入っている。これもうまそうだ。
「リーダー作ってくれたの?」
「うん」
ニノは生魚も食べられるようになっては来たけど、全部と言う訳ではない。
その為に煮魚も作って来たのだろう。
集まった4人を改めて見る。
休業してからもたまに会っては来たけど、新年会は初めて。
なかなか時間が取れなくて、年明け早々なら何とか5人揃えそうだと言う事でこんな時間にした。俺とリーダー以外は家族持ちだから少し気の毒だけど、朝には解散すれば良いだろう。
だから俺の家にしたと言うのもある。
たまに個人個人でも会ってはいるけど、個人で会う時と5人で会うのではやっぱり違う。
5人それぞれ性格も何もかもが違うのに、5人でなければ出せない雰囲気がある。
リーダーがよく言う「空気感」というものだ。
お互いにお互いを尊敬して気遣って、自我を通す人がいない。
自分が目立ちたい、常に中心にいたいと言う人が嵐にはいない。
だからなのか久しぶりに会っても、パッと昔に戻れる。
「まつじゅん、信長、面白かったよ」
「信長じゃなくて家康。もういい加減覚えろよ」
多分、知ってはいるんだよ。そして、それにツッコミを入れるニノもそれをわかっている。
この二人は漫才でもやれるんじゃないかな。
そう思うくらい掛け合いが面白い。
そして、そんな二人を嬉しそうに見ている、翔くんと相葉くんも良い顔をしている。
やっぱり良いグループだな。
「今度はニノが信長やりなよ」
「だから家康……って、俺がやるの?家康を?」
「ニノは家康ってイメージじゃないな」
「信長でもないよね」
そんな話をしていたら、
「ニノはね……秀吉」
「ああ、良いかも」
普段、時代劇はよくわからないなんて言っているけど、武将の名前覚えてるじゃん。
それに性格まで把握している。1年間、観てくれたのかな。
確かにニノの秀吉は見てみたいかも…。
でも俺はリーダーの時代劇をいつかまた見てみたいな。
「忍びの国」は凄かったからな。動けるうちにまたやって欲しいなぁ。
色々な話をしながら飲んでいるうちに夜も明けてきた。
「さて、そろそろ帰らないと」
「そうだね。俺も今年は仕事始めが早いんだ」
「じゃあ、俺も帰るわ。リーダーどうする?」
リーダーはいつの間にか眠っていた。
「大丈夫。暫くこのままにしておくよ」
「うん。じゃあ、また」
「また今度何処かで飲もうね」
「そうだね。もうリーダーも年だから家飲みが安心だけどな」
そうしたら突然後ろから声がした。
「まだ年じゃねぇよ」
その言葉にみんなで笑う。
「俺も帰るわ」
「大丈夫?」
「じゃあ俺、方向が同じだから送って行くよ」
タクシーを3台呼んで、それぞれに乗る。
「じゃあ、またね」
「今年もよろしく」
それぞれに言葉を交わして、元日の朝の中を走り去っていった。
せっかくの新年なのに出すお話がないのも寂しいなと思って、
夜中に突然思いついて書きました。
新年なのでこんな話も良いかなと思って。