(兄弟抄)


「もし悪友に値えば 則ち 本心を失う」

されば法華経を信じる人の をそるべきものは 賊人・強盗・夜打ち・虎狼・獅子等よりも 当時の蒙古のせめよりも 法華経の行者をなやます人々なり。


此の世界は第六天の魔王の所領なり、

一切衆生は無始巳来 彼の魔王の眷属なり・

六道の中に二十五有という籠をかまへて一切衆生を入るるのみならず


妻子と申すほだしをうち 父母主君と申す網を空にはり、


貪瞋痴の酒を飲ませて仏性の本心をたぼらかす、


ただ悪の肴のみを・すすめて 三悪道の大地獄に伏臥せしむ、


たまた善の心あれば 障碍をなす、


法華経を信ずる人をば・いかにもして悪へ堕とさんとをもうに叶わざれば

やうやくすかさんが為に

相似せる華厳経へをとしつ~(中略)

悪友は善導・法然是なり。


これは第六天の魔王が知者の身に入って善人をたぼらかすなり、

法華経の第五の巻に「悪鬼その身に入る」と説かれて候はこれなり。

~(中略)

~第六天の魔王は妻子の身に入って孝養の子をせむることあり・・・・。


この御文を換骨奪胎して 敢えて「敵」を拵える人もいますが・・・

仏に憎しみや恨みの思いはありません。

皆、どんなに時間がかかっても いつかは成道を遂げる大切な命なのだと

ご存知ですから。