居酒屋で時々、「ホッピー」というメニューをみかけます。飲んでいるところをみると自分で小瓶から注いでいます。ビールのような感じですが、泡は控えめ。注文を聞いていると、白と黒があるようでこれもビールに似ています。
ホッピーはホッピービバレッジという会社が販売している、炭酸のビールテイスト飲料です。アルコール度数は約0.8%なので、厳密には酒類ではありません。居酒屋では、焼酎をこのホッピーで割って飲んでいるのです。
昭和20年代、ビールは高価でなかなか手が出せませんでした。今のように第3のビールなどはないので、安価な焼酎とホッピーの組み合わせが大ブレイクしたのです。関東圏を中心として広まったので、懐かしの東京の味、と表現されることもあります。
おじさんが言う「中(なか)多め」ってどういう意味?
なぜ、ビールがこれだけ飲まれている今でも、ホッピーが飲まれているのでしょうか。理由の1つは、ホッピーの成分です。ホッピーは100mlあたり、約11キロカロリー、糖質は1.7gと低カロリー・低糖質なのです。プリン体もゼロです。焼酎で割っても、ビールほどのカロリーになりません。そのため、糖質制限をしていたり、痛風の気のある人が好んで飲んでいるイメージもあります。
安いというのも人気の理由です。店舗では1本140円前後で販売されており、焼酎はなんでも構いません。筆者はキンミヤ焼酎がホッピーに合うので重宝しています。飲食店でも、総じてビールよりは安く設定されており、焼酎を多めにしておかわりしていけば酒豪でも会計を抑えられるのです。
もちろん、お酒として飲むのですから、おいしくなければ広まるわけがありません。一般的には焼酎1に対して、ホッピーを5入れます。すると、4%程度のお酒になります。この濃さは、自分で自由に調節できます。味わいはビールと比べるとすっきり目で、ごくごく飲めます。
ホッピーを飲むときは、焼酎のことを「中(なか)」と呼びます。注文するときに、「中多め」と言えば、焼酎が多めになり、濃いホッピーを楽しめます。1杯目を飲みきってもホッピーが残っていることが多いので、次は「中」だけを注文すればいいのです。ホッピーがなくなれば「外」を注文すればいいのです。ホッピーには白と黒があるので、両方メニューにある場合は色も指定します。
黒ホッピーは黒タイプのビアテイスト飲料で4種類の麦芽をブレンド。香ばしさがあり、ライトな黒ビールのようなニュアンスがあります。
ホッピーを頼むと、焼酎が標準量入った氷入りのジョッキとホッピーの瓶が来ることが多いでしょう。しかし、ホッピー好きの中には氷なしで飲む人も多いです。ホッピーの味を堪能するなら氷をなしにしてもらうこともできます。その分焼酎を多く入れるため、追加料金がかかるところもあるので注意してください。逆に、追加料金なしで焼酎を好きなだけ入れられるお店もありますが、泥酔しないように、こちらも注意してください。
他にもあるおいしいホッピーの楽しみ方
ホッピーは焼酎以外の蒸留酒やリキュールで割ってもOKで、いろいろな楽しみ方ができます。公式サイトでは、焼酎をホッピーの白と黒を半分ずつハーフ&ハーフや、梅酒を黒で割った「クロウメP」といったメニューが公開されています。
また、ホッピー単体ではアルコール度数は1%以下ですが、見た目はビールなので、お酒が飲めない人にも人気です。ホッピーだとしてもお酒が入っているかどうかは見た目ではわかりません。味わいもビールっぽいので、気分が盛り上がるという人もいます。
以前はガード下のおじさん御用達といったイメージですが、近年の広告戦略が功を奏し、若者への認知度も少しずつ広まっているのです。今でもたくさんの居酒屋に置かれています。
今日の飲み会、メニューにあればホッピーを頼んでみましょう。もし、若者が訝しげに見ていたら、ヘルシーポイントを訴求して、味見にするように勧めてみてはいかがでしょうか。ファンが増えれば、ホッピーを置いてくれるお店も増えるかもしれません。