一見すると本物にしか見えない「デコレーションケーキ」が話題になっている。カメラ・鞄・スニーカーなどの日常品から、肉・魚・エビなどの食料、動物・人物・キャラクターものまでケーキで再現。作者は、自称“製菓業界最狂クレイジーケーキデコレーター”鈴木恵さん。今までに制作した作品は3500個を超え、数々のお菓子アート関連の賞も受賞している。そんな彼女に、デコレーションケーキの魅力や難しさなどを聞いた。
■デコレーションケーキ作りは独学 「YouTubeでアメリカのケーキ作りを学びました」
製菓学校へ通ったこともなく、パティシエ経験もないという鈴木恵さん。自己流でデコレーションケーキ制作を学び、完全独学叩き上げで今の技術を習得したというから驚きだ。
――デコレーションケーキの作り方は独学とのことですが。
【鈴木恵】「ネットで検索しYouTubeなどで、アメリカのケーキ作りなどをみました。とにかく面白いケーキを作ってみたい、喜ばれたいという気持ちで始めました。作りたいものをどのようにケーキで作っていくかだけを考え、上手に作ることはあまり考えませんでした」
――「デコレーションケーキ」を作ろうと思ったきっかけは何ですか?
【鈴木恵】「友だちの誕生日で喜ばれるケーキをあげてみたいと思っていました。そんな中、アメリカのド派手なケーキに興味を持ち、急遽本場アメリカにケーキ事情を調査に行き、衝撃を受けてケーキの制作を始めました」
――作品によると思いますが、作るのにかかる時間はどれくらいでしょうか?
【鈴木恵】「5、6時間から2日くらいですが、飾り付けやデザインの難易度によって全然違います。食べ物なので、作り始めると早め早めに終われるよう、休憩はほぼせず終了まで一気に作り上げます」
――制作時に大変なこと、難しいことは何ですか?また、制作時に気をつけていることは何ですか?
【鈴木恵】「やり直しが効かないものなで、制作するのに必要な資料集めなどを、ちゃんとしてから慎重に制作します」
――お客様からの反応で印象に残っているものがあれば教えてください。
【鈴木恵】「ネット通販なので普段はお客様との直接的なコミュニケーションはないのですが、ケーキを使ったときの写真や動画などを送ってくれたりするお客様がたくさんで、毎日嬉しいです。テレビ出演などの際、周りにいるスタッフの方などの反応が予想以上なことが多く、間近で反応を見られてとても嬉しく思います。みなさんが、『ケーキを切るのがもったいないけど切りたい』というのを聞くと嬉しさがこみ上げてきます(笑)」
――味についてこだわられている部分はございますか?
【鈴木恵】「北海道で制作しているので、小麦粉やクリームチーズや卵など、北海道産のものがあればやはり地元の食材を使うようにしています。味もまだまだ改良の余地があるので日々勉強中です」
■普段作れないケーキを、展示のときに思いっきり楽しんで作ることが多い
――幅広い作品がありますが、ご自身が一番好きなジャンルは何でしょうか?
【鈴木恵】「最近では“肉”ものです(笑)。意外に脂身などを表現するのが難しいのですが、全て同じではないのでそこに興味を惹かれています。肉はずーっと見てられます!脂身と赤身の混ざり具合がものすごくアートに感じてしまいます(笑)。もちろん本物の肉を食べるのも大大 大好きです!」
――アート作品として展示用に制作する作品はどういったものが多いでしょうか?
【鈴木恵】「カメラやスニーカーケーキなどです。どっちが本物なのかなって楽しく見れるものだったり、個人的に4つ足でできているケーキなどを見たことはないので、犬や動物なども展示用ケーキとして制作したりします。普段作れないケーキを、展示のときに思いっきり楽しんで作ることが多いかもしれません」
――展示されたケーキは、その後どうするのでしょうか?
【鈴木恵】「短期間で終わる展示のときは、食べたりすることも多いです!今まで、全てそうしてきたので手元に作品が何も残らないんです」
■一番難しかったケーキは、「明石家さんまさんの等身大ケーキ」
――今まで、一番作るのが難しかった作品を教えて下さい。
【鈴木恵】「2014年6月頃に『さんまのSUPERからくりTV』(TBS系)のバースデイプロジェクトでの明石家さんまさんの等身大ケーキです。腰を落としたポーズを、どのようにケーキで再現すればいいのかすごく悩みました、顔などもあまり得意ではないので、そこも難しいポイントでした」
――今後制作してみたいデコレーションケーキはありますか?
【鈴木恵】「色々あるのですが、ゾンビ系などの映画で使われる特殊メイクを使った小物系のケーキを作ってみたいです、そして関東で個展を開催したいです。その他にも大きな牛ケーキなどを作りそれを皆さんで食べるというイベント的なこともしてみたいですね!考えるだけでワクワク楽しそうです(笑)」
――一番の自信作は何ですか?
【鈴木恵】「2018年12月の展示のときに、『こんな大きすぎる頭のブルドッグがいたらいいのにな〜』で作った1メートルの巨大ブルドッグケーキです!」
――こだわりやポリシーを教えて下さい。
【鈴木恵】「毎日楽しみながらケーキ制作を続けていきたいです!自分が体験していないことやものを吸収して、もっともっとリアルにケーキで再現できるように日々追求していきたいです」
――今後の目標などはありますか?
【鈴木恵】「こういったケーキは世界ではメジャーなものなのですが、日本ではあまり知られていないので、もっともっと広めていきたいです!日本にこういったケーキを広めるというのが大きな目標です!」