◆炊き出しのみで1日生活できるのか?
一向に上がらない給料、増え続ける税負担。終身雇用も崩壊し、気を抜けばいつ路頭に迷うかもしれない世の中だ。そこで、もしものときのために「衣・食・住」すべてを0円で揃える究極の生活をシュミレーション――。今回は「食」編。食費節約の究極は“タダ飯”。その代表格が“炊き出し”だろう。
「実際に、炊き出しはホームレスや貧困層の強い味方です。並びさえすれば、誰でも食料をもらえます」
そう語るのはホームレスを多数取材してきたライターの村田らむ氏だ。ネットで調べてみると、都内では主に教会や市民団体が炊き出しを行っているようだ。

取材当日の朝、まず向かったのは東京・山谷。毎日炊き出しを行っている某教会の前には朝8時前すでに行列ができていた。
「あの……ここに並べば炊き出しもらえるんですか?」
「あん? そうだよ。兄ちゃん若いのに大変だね!」
歯がほとんどないおじいさんとそんな会話を交わしながら観察を開始。9時になり教会内に案内されると有無を言わさず眼前の机に直置きでパン7個、バナナ2本、かなり薄めのホットコーヒーが配られ始めた。想像以上の物量に驚く。皆その場でがっつくのかと思いきや……誰もその場で手をつけようとはせず、持参したビニール袋にパンを詰めていく。確かにこれだけの量があれば、一日分の食料になりそうだ。
次は上野公園へ移動。昼から炊き出しが行われているという情報を仕入れていたが、園内を歩けど炊き出しには遭遇せず……。
「ホームレスの数は減少傾向にあり、各地の炊き出しの規模も年々小さくなっていますね」
そんな前出の村田氏の言葉を思い出す。
次に向かったのは新宿の東京都庁。第二庁舎の横で17時からカレーの炊き出しがあるという。150食限定らしく、開始30分前には200人ほどの行列がすでにできている。観察していると1時間ほど並べばゲットできそうだ。
結果として、大量のパンとカレーでボリューム的には十分な食料が炊き出しで得られる。しかし、気温35℃を超す猛暑の中で列をなして1時間近く待つのは正直言ってかなりしんどいのも事実……。文字どおり、“最後の手段”として頭に入れておくのは悪くなさそうだ。