日本では、間もなくお盆を迎えるが、中国では棺おけをめぐって、ある問題が起きている。
大勢の人が取り囲む中、何かを次々と壊しているショベルカー。
破壊行為は別の場所でも。
よく見てみると、壊されているのは棺おけ、ひつぎ。
中には、ひつぎに入って抗議する男性も。
また、「死んでも死にきれない」と、泣き崩れる高齢者も。
一体、何が起こっているのか。
中国内陸部にある江西省の現場へと行ってみると、畑が広がるのどかな光景の先に、大量の木材が。
土手には、破壊されたひつぎが大量に散乱。
その一部には、不老長寿を願う文字が。
中国の農村部では、現在も土葬が根強く残っているが、2014年、中国政府は、衛生面や土地の確保の問題から、火葬の推進を発表。
今回、さらに火葬を進めるため、地元政府は、3万3,000円ほどの補助金を出して、ひつぎを回収する策に出たが...。
ひつぎを作るのには、およそ4万円から8万円がかかることから、半ば強制的な回収だとして、住民たちが猛反発する事態となった。
40年前に、夫の母親がひつぎを作ったという女性は、「うちのひつぎは、5,000元くらい(約8万1,000円)。全部、上質の木材で作ったの」と話した。
付近の村では、生前に自らのひつぎを用意する習わしがあり、ひつぎが立派であればあるほど、死後の世界で、いい暮らしを送ることができると考えられている。
村では、「一番大事なのは、『亡くなった人は、埋葬されれば極楽往生できる』こと。ここの風習なの。だからひつぎが重要なんです」、「お年寄りは、みんな意見がある。90歳も100歳も(ひつぎを)持って行かれた」、「別の村では、60歳の人が亡くなった。『ひつぎを取り上げられたので自殺した』と聞いた」などの声が聞かれた。
長い間続いてきた郷土の文化に迫る、急激な改革。
住民らとの摩擦の解消には、まだ時間がかかるとみられる。