サッカー・ワールドカップ(W杯)の1次リーグ最終戦で日本はポーランドに敗れたものの、決勝トーナメント進出を決めた。28日深夜から29日未明にかけて各地で試合を見守った大勢のサポーターらはため息から一転、歓喜の声を上げた。同時進行のセネガル対コロンビアの行方を見ながら耐えた日本。サポーターらは「次だ」と決勝トーナメントでの日本の躍進を信じた。
「川島の好セーブが大きかった」…福岡
福岡市中央区のスポーツバー「グランドミラージュ天神」では、試合終盤、ポーランドの追加点を防ごうと日本がボールを回す間、サポーターらが祈るように試合を見つめた。終了のホイッスルが鳴り、一方の試合でセネガルが負けて決勝トーナメント進出を決めると、店内は一気に大歓声が響き渡った。
同市城南区の美容師、後藤美紀さん(45)は「最後はドキドキして心臓が持たないかと思った。川島(永嗣)選手の好セーブが大きかったと思う」と喜んだ。福岡県小竹町の会社員、有吉謙太さん(25)は「勝って決めてほしかったので複雑だが、ホッとしている。決勝トーナメントでは納得のいく試合をしてほしい」とエールを送った。
初戦のコロンビア戦で決勝ゴールを決めて日本勝利の立役者になった大迫勇也の母校、鹿児島城西高校(鹿児島県日置市)では、サッカー部員らがテレビで観戦。後半開始早々に大迫がピッチに入ると、後輩たちから歓声が上がった。
大迫は今回得点に絡めなかったが、在校当時のコーチで現在ヘッドコーチの梶原寛人さん(33)は「決勝トーナメントでは思い切りプレーして得点してほしい」と期待を寄せた。【西嶋正法、林壮一郎】
「8強入りを目指して」…札幌
札幌市中央区のダンスクラブ「キング・ムー」で開催されたパブリックビューイングでは、決勝トーナメント進出が決まった瞬間、詰めかけた約800人のサポーターらが、肩を組んだり、跳び上がったりして喜びを爆発させた。
札幌市中央区の会社員、佐藤高志さん(25)は「自力で勝ち取ってほしかったが、とにかく決勝進出が決まってよかった。川島がファインセーブで日本を守ってくれた。苦しい戦いが続くと思うが、初の8強入りを目指して頑張ってほしい」と力を込めた。
© 毎日新聞 日本の決勝トーナメント進出を喜ぶサポーター=名古屋市中区の「ザ ワイズカフェ・名古屋レジェンドホール」で2018年6月29日午前0時55分、大西岳彦撮影
一方、同市北区の大学生、逸見真弘さん(24)は「後半は守りに徹していたが、選手のパフォーマンスも万全ではなかったので、仕方ないと思う」と理解を示したが、埼玉県から出張にきていた会社員の岡藤弘泰さん(38)は「サポーターが全力で応援できるような積極的なプレーを、最後まで続けてほしかった」と複雑な表情を浮かべていた。【澤俊太郎】
「次は守りでなく攻めて」…名古屋
名古屋市中区大須のカフェ「ザ ワイズカフェ・名古屋レジェンドホール」では29日未明、パブリックビューイングで試合を見守っていたサポーターら約400人が、決勝トーナメント進出を喜んだ。0-1で試合は終了したものの、次第に会場から「行くぞ」の声がわき起こり、拍手をしたりハイタッチしたりする人の姿も見られた。
顔に日の丸のペイントをした名古屋市名東区の会社員、佐藤由衣さん(26)は「本当は勝ってほしかったけど、決勝で勝ってくれればいいかな」と笑顔を見せた。高校時代、サッカー部で県大会優勝メンバーだったという名古屋市南区の学生、高木啓瑚(けいご)さん(19)は「次は守りでなく攻めて点を取りに行ってほしい」と期待を込めた。