昨年6月のこのコラムではビジネスメンのための食中毒対策を提供した。
食中毒対策に「男性向け」も「女性向け」もなく、食中毒予防の基本は「食中毒菌を、つけない・増やさない・やっつける」の三原則を確実に実行することだ。
これを頭に焼き付けた上で、今回はビジネスウイメンが直面することが多い場面を想定した食中毒対策を提供する。
外食の機会が多いビジネスメンの食中毒は「家庭外」で発生することが多いのではないか(すみません、データなしです)。
一方、ビジネスウイメンが関係する食中毒は「家庭内」に多いような気がする(データなし)。
ビジネスウイメンが家事を担当していれば(その可能性が高いと推察するが)その影響は家族にも及ぶので、ビジネスメンの場合よりも深刻である。
「平成29年食中毒発生状況(概要版)」によると、食中毒の発生場所は圧倒的に「飲食店」が多く「家庭」は少ない。
これは、食中毒の発生件数が「保健所に届けられたケース」だけで集計されているからだ。
飲食店での食中毒は(飲食店側が隠しておこうとしても)保健所の知るところとなるが、家庭での食中毒は(よほど重大な事案でない限り)保健所に届けられることはまずない。
これは、食中毒の発生件数が「保健所に届けられたケース」だけで集計されているからだ。
飲食店での食中毒は(飲食店側が隠しておこうとしても)保健所の知るところとなるが、家庭での食中毒は(よほど重大な事案でない限り)保健所に届けられることはまずない。
そのため、家庭内での食中毒は、軽度のものも含めると、統計上の件数よりもはるかに多いと推測されている。
いま「軽度のもの」と書いたが、軽度の「食あたり」の延長線上に重篤な「食中毒」が待ち受けている。
調理担当者は「ていねいすぎるくらいの手洗い」を!
ビジネスメンへの食中毒対策を一言でいえば「食べ物は充分に加熱すること」だった。
同様に、ビジネスウイメンへの食中毒対策を一言でいえば「よく洗うこと」だろう。
まずは手洗い。
ほとんどすべての女性は、調理の前には手を洗っていると思うが、少なくとも最初の1回くらいは「ていねいすぎるくらい」の手洗いを励行しよう。
手指は、調理の開始前だけではなく、調理中にもたびたび洗いたい。
とりわけ、加熱せずに食べる料理(サラダ・刺身・和え物など)の前後には、流水で手指を洗うこと。
肉や魚などは、充分に加熱することで原因菌が死滅(激減)する可能性が高いが、加熱しない料理では死滅しない細菌類が、口に入るまでの間に急増して食中毒を引き起こすリスクが高くなる。
ウッカリしがちなのが、生食する料理と加熱する料理の「つなぎ目」。
生の肉や魚を触った手で、生野菜サラダなどを調理すると、肉や魚についていた細菌類が野菜について増殖する。
肉や魚のほうは加熱をするからリスクが減るが、生野菜サラダのリスクは増大する。
肉や魚を調理した包丁やまな板も同様。
生の肉や魚を触った手で、生野菜サラダなどを調理すると、肉や魚についていた細菌類が野菜について増殖する。
肉や魚のほうは加熱をするからリスクが減るが、生野菜サラダのリスクは増大する。
肉や魚を調理した包丁やまな板も同様。
本来は調理器具を使い分けるべきだが、家庭ではナカナカそうもいかない。
その場合は、よくよく洗ってから、次の調理に取りかからなくてはならない。
食中毒の原因は家庭内のアチコチに山ほどある
清潔にしているつもりでも、家庭内には「あらゆるところ」に食中毒の原因となる細菌やウイルスが存在していると考え、「どこかに触ったあとは必ず手を洗う」ことを習慣づけたい。
トイレに行ったあとに手を洗わない女性はいないだろうが、調理と洗濯を同時に進めている場合には、洗濯機に触ることがある。
食器棚にはよく触ることだろう。
食器棚にはよく触ることだろう。
そういう行為をしたあとは、必ず流水で手をよく洗うこと。
ふきんやタオルやスポンジ、食材を入れたボールなども、使用後はそのまましまうのではなく、ていねいに洗ってよく乾かす習慣をつけよう。
細菌やウイルスがついているのは、他人や家財道具ばかりではない。
自分の体でも、よく洗ってない部分には、食中毒菌がついている可能性が高い。
たとえば(調理前に)手指のようには念入りに洗わなかった顔や頭。
調理途中で鼻の頭をかいたりしたら、手を洗う。
自分や家族を過信しないこと。
「体調が悪くない人(たとえば自分)は食中毒菌を持ってない」ということではない。
ほとんどの人は、食中毒の要因となる細菌等を保持している。
その数が少なかったり、存在している部位が危険ではない場所だったりして、食中毒になってないだけ。
愛情と安全は別。冷静な対応を!
たとえばあなたは調理をするときに、結婚指輪を外すだろうか?
指輪の下(指輪と皮膚の間)は食中毒菌の格好のすみかだといわれている。
指輪をしたままで、あるいはビニール手袋を着用しないままで作った料理には、食中毒菌がついてしまうことが多い。
でも、必ずしも食中毒が起こるわけではない。
それは、家庭料理では、調理してから食べるまでの時間が短いからだ。
料理についている食中毒菌の数がそれほど多くならないうちに食べるから。
家庭で作った料理でも、食べるまでに時間のかかる物、たとえばお弁当やおむすびなどでは、口に入るまでに食中毒菌がかなり増殖してしまう。
これから夏場にかけて、家庭で作ったおむすびの食中毒が増えてくる。
ときどき「コンビニのおむすびがいつまでも腐らないのは健康に悪いくらいクスリを使ってあるからだ。その証拠にお母さんが作ったおむすびはすぐに悪くなる」という人があるが、あれは勘違い。
コンビニのおむすびのほうが(愛情のあるなしは別にして)お母さんが作ったおむすびよりも清潔に管理して作ってあるために細菌数が少ないから腐りにくいのだ。
おむすびを握るときには指輪を外すか、ビニール手袋を着用すべきだ。
同様に、よく批判されるのが大手メーカー製のパン。
「家庭で作ったパンはすぐにカビが生えるのに、大手メーカー製のパンにカビが生えないのは、大量の添加物が入っているから」という人があるが、あれも勘違い。
家庭で作ったパンのほうが(保存料を使わないということもあるが)大体の場合、できあがったパンについている細菌数が多いために、時間がたつとカビてくると考えるほうがいい。
筆者は、コンビニや大手食品会社を擁護しているのではない。
“食べ物”としては、他人が作ったものよりは家族が作ったもののほうが好ましいと思う。
“食べ物”としては、他人が作ったものよりは家族が作ったもののほうが好ましいと思う。
しかし、そのことを強調するがあまり、「コンビニのおむすびや大手メーカー製のパンはキケンだ」という非科学的な判断をすべきではない。
それがすぎると、家庭内に潜むリスクを過小評価することにつながり、食中毒対策などがおろそかになるキケンがある。
家の中には、食中毒菌があふれていると考えよう。
けっして油断することなく、「食中毒菌を食品につけない・食品についても増やさない・原因をやっつける」という食中毒予防の三原則を確実に守るようにしよう。
手始めに、まずは「手洗い」から!