誰しも人には言えない恋愛経験のひとつやふたつはあるはず。男性としては、うっかり逆ナンされて、ワンチャンあればラッキーだと考える人も多いことだろう。しかしその結果、大惨事に見舞われてしまうことも……。
 
◆酔いつぶれて路上で寝ていたら逆ナンされて…
 
 IT関係の会社でアルバイトをしながらバンドマンを続ける廣瀬良明さん(仮名・29歳)。廣瀬さんの悪夢が始まったのは3年前の7月、バンドのライブの打ち上げで酔いつぶれ、深夜に自宅近辺の路上で愛用のギターを枕にして寝ていた時だった。
 
「君、おい君、大丈夫~?」
 
 目を覚ますと、目の前には白いワンピースに麦わら帽子を被った女性が立っていた。彼女がスマホを取り出し、酔いつぶれた廣瀬さんのことを何度も写メを撮り、「イケメン発見!」とひとりで大はしゃぎしていたそうだ。
 
 確かに廣瀬さんはスマートな体型かつ切れ長の目をしていて、周囲でもイケメンと評判であったが、深夜の人気のない路上で大はしゃぎしながら写メを撮るほどのことか……。しばらくすると、女性は写メを撮るのに満足したらしく、廣瀬さんにこう告げる。
 
「家はどこなの? もし良かったら送ってあげるわよ」
 
 願ってもみない逆ナンだった。断る理由などあるはずがない。
 
「あの時、俺はかなり酔っていて、ひとりで帰れるような状態じゃなかったんですよ。だから、その女に送ってもらうことにしたんです。それに、もしかしたらそのままお持ち帰りして……そりゃ俺だって男性ですから、下心ぐらいわいてきますよ」
 
 当時の心境を語る廣瀬さん。その後、彼はその女性に家まで送ってもらい、一夜を共にした。さらには付き合うことになったという。
 
「彼女は俺より一回り年上で、容姿はそこそこですが、とにかくエロい。電話1本よこすだけですぐに俺ん家まで来てくれました。そこまでは良かったんですが……」
 
 ここで言葉を濁す廣瀬さん。その後、円満に交際を続けていた2人はあるアクシデントに遭遇することになる。
 
◆産婦人科に駆け込む事態に…
 
「あれは忘れもしない、土曜日のこと。正社員の彼女が休みで下北沢でデートしたその晩、俺ん家でいつものように楽しんでいた時のことです。着用していたはずのゴムが……」
 
 知らぬ間にゴムが外れていたことに大慌ての廣瀬さん。恐る恐る彼女に伝えたが……気にも留めない様子だったという。妊娠を恐れた彼は、彼女にアフターピルを飲まそうと土日でもやっている産婦人科を慌ててスマホで探し、彼女を連れて行こうとする。しかし、彼女は頑なにそれを拒むばかりか、「廣瀬くんの子なら、可愛いだろうな」などと母性溢れる発言をするではないか!
 
 とはいえ、バンドマンの夢を追いかけたい廣瀬さん。まだ父親になる気はない! 焦った廣瀬さんはなんとか彼女を説得し、月曜日に彼女のかかりつけの産婦人科に行く約束を取り付けた。
 
 これまでは妊娠しないように気をつけていたが、初めての出来事に恐怖すら覚えたという。週明け、彼女にアフターピルを飲ませて事態は終息したかのようにみえたが……。
 
◆おいしい話には裏がある?
 
 しかし、本当の恐怖は始まったばかりであった。売れないバンドマンであり、普段はIT関係のアルバイトをしている廣瀬さんに財力はない。アフターピル代も彼女負担であった。
 
 金銭面に関する後ろめたさはもちろん、妊娠のリスクに恐怖を覚えた彼は、以前のように彼女を家に呼ぶことはなくなったという。
 それから2、3週間後、ある異変に気がついた。下半身がむず痒い。当初は「そのうち治まるだろう」と気にしていなかったが、その痒みは1週間以上経っても消えず、増す一方。
 
 日常生活はもちろん、座り作業がメインのバイトにも支障をきたすようになったという。思い当たる節はひとつしかない。それは、彼女との一件だ。
 
「そんなはずはないと思いながらも症状が悪化するので、耐えきれずに病院へ駆け込みました。検査の結果は“クラミジア”。要は彼女が病気持ちだったわけです。病気にかかったことを彼女にLINEで告げると、一方的に通話を切られてしまい、その後完全にブロックされてしまいました……」
 
 彼女とは、それっきり音信不通になってしまったという。その後、無事に回復した廣瀬さんだが、心の傷はいまだに癒えていない。女性から逆ナンされて付き合う……おいしい話には裏がある、そう実感した出来事だったという。